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令和5年度【340回~


がんセンターセミナー開催記録

対象者

医学研究者及び医療従事者等

第347回

テーマ

血液がん診療の現状

開催日時

2024年2月17日(土)14:00~15:00
がんセンターフォーラム特別講演を兼ねます。

演者

張替 秀郎(宮城県立病院機構 理事長)

概要

白血病を含む血液がんは他のがんと異なり、外科的治療ではなく内科的治療により治癒を目指す。急性の血液がんにおいては、抗がん剤をベースとした化学療法が基本となるが、慢性の血液がんにおいては古典的抗がん剤を使用せず分子標的薬中心の治療になりつつある。他のがんと異なるもうひとつの治療が細胞免疫療法を目的とした臓器移植(同種造血幹細胞移植)である。化学療法では限界があった急性白血病の治療成績が向上した理由はこの同種造血幹細胞移植の確立による。最近は自己の免疫細胞を用いた細胞免疫療法(CAR-T)が開発され、血液がんにおける細胞免疫療法の拡大がなされている。また、血液がんは、検体が得やすいこと、対照となる正常造血細胞の分化・増殖過程が詳細に解析されていたことから、他の領域に先んじて診療に分子生物学的検査が導入されている。その結果、血液がんにおいては、診断、予後予測、治療薬の選択、治療効果の評価など実臨床において分子生物学的検査が必須である。日常診療に分子生物学的検査が導入されていることに加え、ゲノム異常が他のがんと比べて少ないこともあり、血液がんにおいては多くの分子標的薬が開発されてきている。今後、血液がんにおいてはゲノムベースの個別化診療が急速に進んでいくものと考えられる。一方で、課題も少なくない。急性の血液がんに対する治療開発の遅れなど血液領域に限った課題もあるが、他のがんと共通の課題も多く、その解決には医学的だけでなく社会的な議論が必要である。

開催形式

ハイブリッド形式(大会議室・オンライン開催)
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第346回

テーマ

膀胱全摘術 やりなはれ

開催日時

2024年2月2日(金)17:30~19:00

演者

安達 尚宣(がんセンター 泌尿器科診療科長)

概要

筋層浸潤性膀胱癌に対する標準術式である膀胱全摘術は、手術時間が長く、出血量が多く、泌尿器科の中でも1〜2位を争う高侵襲手術である。尿を貯める袋である膀胱が無くなるため、尿を排出するための尿路変向術が必須であり、さまざまな合併症も起こりうる。泌尿器科医だけでなく、手術室スタッフ、病棟スタッフ、WOCナースの介入が必要であり、退院に向けては後方支援を要することもある。まさに病院の総合力が問われる手術であると言える。一般病院では年間1〜2例、多くても3例程度しか行われないが、当科では年間10例程度実施しており練度が高い。ロボット導入に伴い、手術成績は劇的に改善している。当院での膀胱全摘術の治療成績を中心に解説する。なお、タイトルはふざけているが、内容もアカデミックではないので気楽に聞いていだければ幸いである。

開催形式

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第345回

テーマ

診療における法的リスクマネジメント:がん事例を参考に

開催日時

2024年1月19日(金)17:30~19:00

演者

大滝 恭弘 先生(帝京大学医療共通教育研究センター 教授)

概要

1999年、米国医学研究所が米国の入院患者の医療事故による死亡が年間4万4千人から9万8千人にのぼる可能性があると発表し、世界中に大きな衝撃を与えた。これに端を発して、本邦でも医療安全が大きく注目されるようになり、現在では、各病院で医療事故の防止に向けた取組みが活性化している。民事医療訴訟の新規提訴数はピークアウトして最近はやや落ち着きをみせているものの、1999年以前の状態には戻っていない。医療事故が医事紛争に至った場合、患者・医療従事者共に大きく消耗するため、紛争予防を含む医療安全管理の確立は、現在も解決すべき課題でありつづけている。今回、裁判例と匿名性を確保した実際のがん診療における医事紛争事例を題材として、日常診療において気をつけるべき法的なポイントを解説する。

開催形式

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第344回

テーマ
がん治療と心血管病―Oncocardiologyガイドライン実践へのポイント
開催日時
2023年12月22日(金)17:30~19:00
演者
坂東 泰子 先生(三重大学大学院 医学系研究科 基礎医学系講座 分子生理学 教授)
概要
がん治療における心血管毒性はがん治療継続にとっての障壁となり得る。こうした必要性に応じ、欧州心臓病学会・血液学会・放射線学会・国際腫瘍循環器学会(ICOS)合同ガイドライン、JSMO・JCOS合同のOncocardiologyガイドライン、さらには、腫瘍循環器診療現場への指針が徐々に充実しつつあるが、各現場への適用に越えるべきハードルも存在する。本講演では、最新のガイドラインを如何に実臨床に反映させるかについて理解を深めることを目指すとともに、これにより腫瘍医・循環器内科医・コメディカルによるチーム連携強化に繋がることに期待する。
開催形式
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第343回

テーマ
低酸素応答による代謝制御と、疾患治療への応用
開催日時
2023年12月1日(金)17:30~19:00
演者
南嶋 洋司 先生(群馬大学大学院 医学系研究科 生化学講座 教授)
概要
生存に酸素が必須な生き物である我々には、利用出来る酸素が制限された「低酸素環境」に対する応答反応(低酸素応答)が予めプログラムされている。その低酸素応答の分子機構は、転写因子 HIF(hypoxia-inducible factor)の発見と、その HIF のα-サブユニット(HIFα)がプロリン水酸化酵素 PHD(HIF-PH)によって負に制御されていることの発見が突破口となって一気に解明された。今回は、低酸素応答の分子メカニズムを、虚血再灌流障害・乳酸アシドーシス・敗血症性心不全・腎性貧血・腎細胞癌などのヒトの病気の治療へと応用しようという試みについて、ディスカッションさせて戴ければと思う。
開催形式
ハイブリッド形式(大会議室・オンライン開催)
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第342回

テーマ
「超」超音波イメージングの開発と臨床展開
開催日時
2023年10月20日(金)17:30~19:00
演者
西條 芳文 先生(東北大学大学院医工学研究科 研究科長)
概要
私たちは東北大学の医工連携の伝統を活かし、オンリーワン・ナンバーワンの医用イメージング技術を開発してきた。本セミナーでは、従来の超音波の常識を超えたイメージング技術として、数ミクロンレベルの分解能を有する超音波顕微鏡、流体力学の諸法則をカラードプラ心エコーに応用し心臓内血流ベクトルを推定するEcho-dynamography、2方向からほぼ同時に血流を観測し2次元血流ベクトルを計測するVector flow mapping、短パルス光を照射した際に生じる光音響波の検出により微小血管を可視化する光音響イメージングなどの研究などについて紹介し、その臨床応用の展望について議論する。
開催形式
ハイブリッド形式(大会議室・オンライン開催)

第341回

テーマ
当科における免疫チェックポイント阻害薬の使用経験
開催日時
2023年9月29日(金)17:30~19:00
演者
大塚 和令(がんセンター腫瘍内科診療科長)
概要
免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は現在、多くのがん種で薬物療法の標準治療に組み込まれるようになってきています。ICIについては、大きな抗腫瘍効果をもたらすことがある一方、免疫関連有害事象(irAE)の出現が問題となることがあり、対応に苦慮するケースもしばしばです。
今回は、当科でICIを投与した85症例について、どのようなirAEが出現しどのような対応をしたか、irAEについての経験をまとめてみようと思います。併せて、ICIを使用するようになり、それ以前と比較し患者さんの予後は改善したのかどうかについても、胃がん患者を対象に解析してみようと思います。
開催形式
ハイブリッド形式(大会議室・オンライン開催)

第340回

テーマ
がん患者における新型コロナウイルス感染症
開催日時
2023年7月28日(金)17:30~19:00
演者
冲中 敬二 先生(国立がん研究センター東病院 感染症科)
        (国立がん研究センター中央病院 造血幹細胞移植科(併任))
概要
新型コロナウイルス感染症はがん患者に大きな影響を与える。主な問題として死亡・重症化リスク、罹患後症状(いわゆるLong COVID)、ウイルスの長期排泄・再燃などがあり、ワクチン接種はこれらのリスクを軽減してくれる可能性を示している。また、がん患者を含む重症化リスク因子を有する患者における抗ウイルス薬の重症化や罹患後症状の予防効果が示されている。血液腫瘍患者のような難治性患者における抗ウイルス薬と抗体薬の併用に関する小数例の報告もあり、難治例や長期ウイルス排泄例への対応の参考となる。最近の報告をもとにこれらの情報について紹介したい。
開催形式
ハイブリット形式(大会議室・オンライン開催)