平成26年度【246回~257回】
平成26年度宮城県立がんセンターセミナー
会場:宮城県立がんセンター大会議室
※医学研究者及び医療従事者を主に対象としております。
※医学研究者及び医療従事者を主に対象としております。
1.頭頸部癌化学放射線療法における放射線性皮膚炎の管理
―創傷治癒促進のための栄養療法―
第246回 平成26年5月30日(金)
演者:今井 隆之(当センター 耳鼻いんこう科)
演題:頭頸部癌化学放射線療法における放射線性皮膚炎の管理
―創傷治癒促進のための栄養療法―
化学療法と放射線療法の同時併用治療である化学放射線療法 (CCRT) は、放射線療法単独治療と比較し制御率の向上をもたらし、手術と並び頭頸部癌治療の中心的役割を担っている。化学放射線療法に伴う皮膚炎はほぼ全症例において必発の有害事象であり、患者のQOLを著しく損なうものであるが、確固とした支持療 法のevidenceが無いのが現状である。
近年、HMB、アルギニン (Arg)、グルタミン (Gln) などのアミノ酸が創傷治癒に促進的に働くという報告がなされており、我々は上記アミノ酸補充による栄養療法が放射線性皮膚炎に対する画期的な支持療法の開発に繋がると考え、前向きの臨床試験を行った。結果、創傷治癒促進のための栄養療法が放射線性皮膚炎の予防に効果的である事が示唆された (Imai et al. JJCO 2014) 。
本セミナーにおいて、本臨床試験の内容を放射線性皮膚炎に関する現状のevidenceをふまえ説明したい。
演者:今井 隆之(当センター 耳鼻いんこう科)
演題:頭頸部癌化学放射線療法における放射線性皮膚炎の管理
―創傷治癒促進のための栄養療法―
化学療法と放射線療法の同時併用治療である化学放射線療法 (CCRT) は、放射線療法単独治療と比較し制御率の向上をもたらし、手術と並び頭頸部癌治療の中心的役割を担っている。化学放射線療法に伴う皮膚炎はほぼ全症例において必発の有害事象であり、患者のQOLを著しく損なうものであるが、確固とした支持療 法のevidenceが無いのが現状である。
近年、HMB、アルギニン (Arg)、グルタミン (Gln) などのアミノ酸が創傷治癒に促進的に働くという報告がなされており、我々は上記アミノ酸補充による栄養療法が放射線性皮膚炎に対する画期的な支持療法の開発に繋がると考え、前向きの臨床試験を行った。結果、創傷治癒促進のための栄養療法が放射線性皮膚炎の予防に効果的である事が示唆された (Imai et al. JJCO 2014) 。
本セミナーにおいて、本臨床試験の内容を放射線性皮膚炎に関する現状のevidenceをふまえ説明したい。
2.東北からの創薬を目指して
ー創薬等支援技術基盤プラットフォーム事業ならびに東北大学制御拠点のご紹介ー
第247回 平成26年6月5日(木)
演者:菅原 明 先生(東北大学大学院学系研究科 分子内分泌学分野)
演題:東北からの創薬を目指して
ー創薬等支援技術基盤プラットフォーム事業ならびに東北大学制御拠点のご紹介ー
平成24年度から文部科学省の主導のもと、創薬プロセス等に活用可能な技術基盤の整備、積極的な外部開放(共用)等を行うことで創薬・医療技術シーズ等を着実かつ迅速に医薬品等に結び付ける革新的プロセスを実現することを目的とした創薬等支援技術基盤プラットフォーム(創薬等PF)事業が開始となりました。東北大学は同事業の拠点の一つとして、これまで化合物ライブラリーのスクリーニングに必要な技術基盤や施設・設備を整備して参りました。本説明会では
1)創薬等支援技術基盤プラットフォーム事業の説明
2)東北大学制御拠点の説明
3)東大からの化合物ライブラリー供与の実際
4)スクリーニングの事例
5)制御拠点スクリーニング委託研究の説明
に関してご説明させて頂きます。本説明会を契機に、是非、宮城県立がんセンターの多くの先生方に創薬等PF事業にご参加頂き、東北大学拠点の施設・設備をご利用頂きたいと考えております。
演者:菅原 明 先生(東北大学大学院学系研究科 分子内分泌学分野)
演題:東北からの創薬を目指して
ー創薬等支援技術基盤プラットフォーム事業ならびに東北大学制御拠点のご紹介ー
平成24年度から文部科学省の主導のもと、創薬プロセス等に活用可能な技術基盤の整備、積極的な外部開放(共用)等を行うことで創薬・医療技術シーズ等を着実かつ迅速に医薬品等に結び付ける革新的プロセスを実現することを目的とした創薬等支援技術基盤プラットフォーム(創薬等PF)事業が開始となりました。東北大学は同事業の拠点の一つとして、これまで化合物ライブラリーのスクリーニングに必要な技術基盤や施設・設備を整備して参りました。本説明会では
1)創薬等支援技術基盤プラットフォーム事業の説明
2)東北大学制御拠点の説明
3)東大からの化合物ライブラリー供与の実際
4)スクリーニングの事例
5)制御拠点スクリーニング委託研究の説明
に関してご説明させて頂きます。本説明会を契機に、是非、宮城県立がんセンターの多くの先生方に創薬等PF事業にご参加頂き、東北大学拠点の施設・設備をご利用頂きたいと考えております。
3.蛋白分解酵素阻害物質 Secretory leukoprotease inhibitor (SLPI) による肺癌形成促進の機序
第248回 平成26年6月13日(金)
演者:福原 達朗 (当センター 呼吸器内科)
演題:蛋白分解酵素阻害物質 Secretory leukoprotease inhibitor (SLPI) による肺癌形成促進の機序
肺は外界の空気にさらされており、微生物の侵入に対し、活性化した免疫細胞が活動する場の一つである。免疫細胞より産生・分泌される感染防御のための蛋白分解酵素 (プロテアーゼ) は、時として蛋白質で出来ている肺、気道の正常組織を破壊しうる。プロテアーゼ阻害蛋白は、過剰な酵素の働きを抑制し、組織を守 る。SLPI (Secretory leukoprotease inhibitor, ヒト白血球エラスターゼ阻害蛋白) は気管支分泌液中のプロテアーゼ阻害蛋白の一つで、本来の役割以外に、抗菌作用やウィルス感染抑制、細菌内毒素耐性、創傷治癒などの作用が報告されている。
癌の病態においてもプロテアーゼの働きは重要で、プロテアーゼ阻害因子が無い場合、癌細胞の進展を食い止めるのは難しいと容易に予想される。ところが、SLPIノックアウトマウスを用いて、化学物質による肺腫瘍形成実験を行うと、予想に反し腫瘍が少ないことが明らかになった。SLPIは炎症制御と腫瘍形成をつな ぐ重要な因子であり、その機序の解明により新たな治療法の開発が期待される。
演者:福原 達朗 (当センター 呼吸器内科)
演題:蛋白分解酵素阻害物質 Secretory leukoprotease inhibitor (SLPI) による肺癌形成促進の機序
肺は外界の空気にさらされており、微生物の侵入に対し、活性化した免疫細胞が活動する場の一つである。免疫細胞より産生・分泌される感染防御のための蛋白分解酵素 (プロテアーゼ) は、時として蛋白質で出来ている肺、気道の正常組織を破壊しうる。プロテアーゼ阻害蛋白は、過剰な酵素の働きを抑制し、組織を守 る。SLPI (Secretory leukoprotease inhibitor, ヒト白血球エラスターゼ阻害蛋白) は気管支分泌液中のプロテアーゼ阻害蛋白の一つで、本来の役割以外に、抗菌作用やウィルス感染抑制、細菌内毒素耐性、創傷治癒などの作用が報告されている。
癌の病態においてもプロテアーゼの働きは重要で、プロテアーゼ阻害因子が無い場合、癌細胞の進展を食い止めるのは難しいと容易に予想される。ところが、SLPIノックアウトマウスを用いて、化学物質による肺腫瘍形成実験を行うと、予想に反し腫瘍が少ないことが明らかになった。SLPIは炎症制御と腫瘍形成をつな ぐ重要な因子であり、その機序の解明により新たな治療法の開発が期待される。
4.日本人女性における乳がん罹患・予後因子
第249回 平成26年8月6日(水)
演者:河合 賢朗(当センター 外科)
演題:日本人女性における乳がん罹患・予後因子
これまで宮城県立がんセンターのデータを中心として、初経・閉経年齢、出産歴・出産数、初産年齢、身長、Body mass index (BMI) 、授乳歴、乳がん家族歴、 ホルモン補充療法・経口避妊薬使用歴と乳がん罹患リスクの関連を閉経状況・内分泌受容体 (ER/PR) 別に報告を行ってきた。その結果は、複数のmeta-analysisに 引用されている。欧米では生活習慣とサブタイプ別 [LuminalA/B, HER2, Triple-negative breast cancer (TNBC) ] 乳がん罹患リスクの関連が報告されており、アジア人女性に罹患率が高い閉経前女性を中心とした検討に携わることが出来た。更にこれらの疫学的因子と乳がん患者の予後に関して検討を行ってきた。これらの成果を基に日本人女性における乳がん罹患・予後因子に関して論じたい。
演者:河合 賢朗(当センター 外科)
演題:日本人女性における乳がん罹患・予後因子
これまで宮城県立がんセンターのデータを中心として、初経・閉経年齢、出産歴・出産数、初産年齢、身長、Body mass index (BMI) 、授乳歴、乳がん家族歴、 ホルモン補充療法・経口避妊薬使用歴と乳がん罹患リスクの関連を閉経状況・内分泌受容体 (ER/PR) 別に報告を行ってきた。その結果は、複数のmeta-analysisに 引用されている。欧米では生活習慣とサブタイプ別 [LuminalA/B, HER2, Triple-negative breast cancer (TNBC) ] 乳がん罹患リスクの関連が報告されており、アジア人女性に罹患率が高い閉経前女性を中心とした検討に携わることが出来た。更にこれらの疫学的因子と乳がん患者の予後に関して検討を行ってきた。これらの成果を基に日本人女性における乳がん罹患・予後因子に関して論じたい。
5.重度嚥下障害の手術
第250回 平成26年9月5日(金)時間:17時30分-19時00分
演者:香取 幸夫 先生(東北大学病院 耳鼻咽喉・頭頸部外科)
演題:重度嚥下障害の手術
高齢化と医療の高度化により、加齢による機能低下・脳血管障害・進行がん治療後などの状況で、摂食不能な重度嚥下障害をきたす患者さんが増える趨勢にある。嚥下障害の初期治療は全身状態の改善とそれに続くリハビリテーションであるが、改善が無い、ないし上げ止まりの場合、手術が考慮される。嚥下障害の手術は、①喉頭の音声機能を維持したうえで摂食嚥下の改善を目指す嚥下機能改善手術の群と、②音声機能を犠牲にして気道と消化管を分離する誤嚥防止術の群の 大きく2群に分けられる。いずれの手術を行っても、術後のリハビリテーション と生活環境の整備が重要になる。本講演では、両群の手術適応と術式を解説するとともに、私達が行っている低侵襲手術の取り組みについて紹介する。
演者:香取 幸夫 先生(東北大学病院 耳鼻咽喉・頭頸部外科)
演題:重度嚥下障害の手術
高齢化と医療の高度化により、加齢による機能低下・脳血管障害・進行がん治療後などの状況で、摂食不能な重度嚥下障害をきたす患者さんが増える趨勢にある。嚥下障害の初期治療は全身状態の改善とそれに続くリハビリテーションであるが、改善が無い、ないし上げ止まりの場合、手術が考慮される。嚥下障害の手術は、①喉頭の音声機能を維持したうえで摂食嚥下の改善を目指す嚥下機能改善手術の群と、②音声機能を犠牲にして気道と消化管を分離する誤嚥防止術の群の 大きく2群に分けられる。いずれの手術を行っても、術後のリハビリテーション と生活環境の整備が重要になる。本講演では、両群の手術適応と術式を解説するとともに、私達が行っている低侵襲手術の取り組みについて紹介する。
6.肝門部胆管癌のCT診断と外科治療
第251回 平成27年9月12日(金)
演者:力山 敏樹 先生
(自治医科大学附属さいたま医療センター一般・消化器外科/腫瘍制御医学系分子病態学・腫瘍病態学講座 教授)
演題:肝門部胆管癌のCT診断と外科治療
演者:力山 敏樹 先生
(自治医科大学附属さいたま医療センター一般・消化器外科/腫瘍制御医学系分子病態学・腫瘍病態学講座 教授)
演題:肝門部胆管癌のCT診断と外科治療
7.膵胆道腫瘍に対するOptical Coherence Tomographの有用性
ー特に水平方向進展度診断についてー
第252回 平成26年10月10日(金)時間:17時30分-19時00分
演者:鈴木 雅貴(当センター 消化器内科)
演題:膵胆道腫瘍に対するOptical Coherence Tomographの有用性
ー特に水平方向進展度診断についてー
近年、近赤外線光の低コヒーレンス干渉現象を利用して微細な断層像を得るOptical Coherence Tomography (OCT) が開発され、管腔内超音波検査法の約10倍、300MHzに相当する分解能を持つとされる。得られる画像はルーペ像に匹敵し実際には組織採取をせずに画像による組織診断を行うoptical biopsyとして期待される。OCTでは膵管、胆管ともに一層の粘膜上皮を含めて層構造がそれぞれ 区別して描出され、しかも粘膜上皮においては細胞核と細胞質も分離して描出されるため、腫瘍の水平方向進展度診断、特にこれまで診断困難とされた粘膜表層進展の診断が可能となった。また膵胆道癌の初期像の同定にも今後大きく貢献できる可能性が示唆された。
演者:鈴木 雅貴(当センター 消化器内科)
演題:膵胆道腫瘍に対するOptical Coherence Tomographの有用性
ー特に水平方向進展度診断についてー
近年、近赤外線光の低コヒーレンス干渉現象を利用して微細な断層像を得るOptical Coherence Tomography (OCT) が開発され、管腔内超音波検査法の約10倍、300MHzに相当する分解能を持つとされる。得られる画像はルーペ像に匹敵し実際には組織採取をせずに画像による組織診断を行うoptical biopsyとして期待される。OCTでは膵管、胆管ともに一層の粘膜上皮を含めて層構造がそれぞれ 区別して描出され、しかも粘膜上皮においては細胞核と細胞質も分離して描出されるため、腫瘍の水平方向進展度診断、特にこれまで診断困難とされた粘膜表層進展の診断が可能となった。また膵胆道癌の初期像の同定にも今後大きく貢献できる可能性が示唆された。
8.融合遺伝子陽性肺がんにおける獲得耐性機構とその克服法
第253回 平成26年11月28日(金)
演者:片山 量平 先生(公益財団法人がん研究会 がん化学療法センター 基礎研究部)
演題:融合遺伝子陽性肺がんにおける獲得耐性機構とその克服法
肺がんの薬物療法は、EGFR活性化型変異、ALK、ROS1融合遺伝子といったDriver Mutationの発見と、それらを標的とした分子標的薬の登場により、大きな変化を遂げている。2007年に間野博士らによりALK融合遺伝子が肺がんにおいて発見され、臨床試験の結果大半の患者においてクリゾチニブの投与により著明な腫瘍縮小効果が見られALK阻害薬クリゾチニブが2012年に承認されている。しかしながら顕著な腫瘍縮小が見られた場合でも1年~2年程度でTKIに対して不応となり、 獲得耐性により再発することが問題となっており、獲得耐性のメカニズムを明らかにし、耐性化した腫瘍に対しても有効な治療法を見出すことが重要な課題である。最近になりクリゾチニブ耐性変異を克服できる第2世代の阻害薬の開発が進んでおり、本邦では今年の7月に第2世代ALK阻害薬Alectinibが臨床承認されている。本セミナーでは、主にALKおよびROS1融合遺伝子陽性肺がんにおける各阻害薬耐性機構と耐性克服法についてその研究手法も交えて紹介いたします。
演者:片山 量平 先生(公益財団法人がん研究会 がん化学療法センター 基礎研究部)
演題:融合遺伝子陽性肺がんにおける獲得耐性機構とその克服法
肺がんの薬物療法は、EGFR活性化型変異、ALK、ROS1融合遺伝子といったDriver Mutationの発見と、それらを標的とした分子標的薬の登場により、大きな変化を遂げている。2007年に間野博士らによりALK融合遺伝子が肺がんにおいて発見され、臨床試験の結果大半の患者においてクリゾチニブの投与により著明な腫瘍縮小効果が見られALK阻害薬クリゾチニブが2012年に承認されている。しかしながら顕著な腫瘍縮小が見られた場合でも1年~2年程度でTKIに対して不応となり、 獲得耐性により再発することが問題となっており、獲得耐性のメカニズムを明らかにし、耐性化した腫瘍に対しても有効な治療法を見出すことが重要な課題である。最近になりクリゾチニブ耐性変異を克服できる第2世代の阻害薬の開発が進んでおり、本邦では今年の7月に第2世代ALK阻害薬Alectinibが臨床承認されている。本セミナーでは、主にALKおよびROS1融合遺伝子陽性肺がんにおける各阻害薬耐性機構と耐性克服法についてその研究手法も交えて紹介いたします。
9.声なき痛みのスクリーニング
ー青森県立中央病院SPARCSの取り組みー
第254回 平成27年2月14日(土)時間:12時40分ー13時40分
演者:的場 元弘 先生(青森県立中央病院 緩和医療科)
演題:声なき痛みのスクリーニング
ー青森県立中央病院SPARCSの取り組みー
がん診療連携拠点病院の整備に関する指針では緩和ケアの提供体制として、診断時から全てのがん患者を対象に外来及び病棟での、がん患者の身体的苦痛や精神心理的苦痛、社会的苦痛等のスクリーニングを把握するように求めている。
痛みのスクリーニングは、入院時や初診時に1回実施しただけでは意味がない。明らかになった痛みがどのように治療され改善したのか、入院時に痛みがない場合でも入院後に痛みが出現していないかを継続的にモニタする必要がある。痛みの治療の目標は、痛みによって障害された生活の改善であり、“痛みでできないことや困っていることはありませんか?”という質問によって痛みの治療が適切に達成されているかどうかをスクリーニングすることができる。この結果を担当医フィードバックすることで、医師の行動は鎮痛薬の処方や増量に結びつくことが期待できる。講演では青森県立中央病院で取り組んだ「全ての患者に毎日痛みを尋ね、結果を担当医にフィードバック」する取り組みについて紹介したい。
演者:的場 元弘 先生(青森県立中央病院 緩和医療科)
演題:声なき痛みのスクリーニング
ー青森県立中央病院SPARCSの取り組みー
がん診療連携拠点病院の整備に関する指針では緩和ケアの提供体制として、診断時から全てのがん患者を対象に外来及び病棟での、がん患者の身体的苦痛や精神心理的苦痛、社会的苦痛等のスクリーニングを把握するように求めている。
痛みのスクリーニングは、入院時や初診時に1回実施しただけでは意味がない。明らかになった痛みがどのように治療され改善したのか、入院時に痛みがない場合でも入院後に痛みが出現していないかを継続的にモニタする必要がある。痛みの治療の目標は、痛みによって障害された生活の改善であり、“痛みでできないことや困っていることはありませんか?”という質問によって痛みの治療が適切に達成されているかどうかをスクリーニングすることができる。この結果を担当医フィードバックすることで、医師の行動は鎮痛薬の処方や増量に結びつくことが期待できる。講演では青森県立中央病院で取り組んだ「全ての患者に毎日痛みを尋ね、結果を担当医にフィードバック」する取り組みについて紹介したい。
10.全国がん登録の実施と展開
第255回 平成27年2月27日(金)時間:17時30分-19時00分
演者:西野 善一(当センター研究所 がん疫学・予防研究部)
演題:全国がん登録の実施と展開
平成25年12月に成立した「がん登録等の推進に関する法律」に基づいて来年1月より全国がん登録が開始される。これによって、現在わが国では限られた地域におけるデータしか存在しない罹患率や生存率に関して精度の高い全国値が得られるようになりがん対策の企画・立案や評価に生かされることになる。また各病院は届出症例の予後情報を全国がん登録から得ることが可能となりその利点は大きい。調査研究への利活用に関しては特に全国がん登録の特長である悉皆性を生かし、対象者のがん罹患状況を把握する手段としてがん検診の精度管理、治療後の二次がん発生状況の把握、大規模コホート研究の追跡調査等への活用が考えられる。
本セミナーでは全国がん登録の概要について述べるとともに、想定される利活用についてこれまでの宮城県地域がん登録資料の活用事例等を紹介しながら展望を述べる。
演者:西野 善一(当センター研究所 がん疫学・予防研究部)
演題:全国がん登録の実施と展開
平成25年12月に成立した「がん登録等の推進に関する法律」に基づいて来年1月より全国がん登録が開始される。これによって、現在わが国では限られた地域におけるデータしか存在しない罹患率や生存率に関して精度の高い全国値が得られるようになりがん対策の企画・立案や評価に生かされることになる。また各病院は届出症例の予後情報を全国がん登録から得ることが可能となりその利点は大きい。調査研究への利活用に関しては特に全国がん登録の特長である悉皆性を生かし、対象者のがん罹患状況を把握する手段としてがん検診の精度管理、治療後の二次がん発生状況の把握、大規模コホート研究の追跡調査等への活用が考えられる。
本セミナーでは全国がん登録の概要について述べるとともに、想定される利活用についてこれまでの宮城県地域がん登録資料の活用事例等を紹介しながら展望を述べる。
11.細胞は如何にして異常増殖シグナルを検知するか
第256回 平成27年3月5日(木)時間:17時30分-19時00分
演者:伊藤 嘉明 先生(シンガポール国立大/シンガポールがん医科学研究所 教授)
演題:細胞は如何にして異常増殖シグナルを検知するか
演者:伊藤 嘉明 先生(シンガポール国立大/シンガポールがん医科学研究所 教授)
演題:細胞は如何にして異常増殖シグナルを検知するか
12.緩和ケア雑感ー出会いから30年ー
第257回 平成27年3月25日(水)時間:17時30分-19時00分
演者:小笠原 鉄郎 先生(当院 緩和ケア内科 診療科長)
演題:緩和ケア雑感ー出会いから30年ー
演者:小笠原 鉄郎 先生(当院 緩和ケア内科 診療科長)
演題:緩和ケア雑感ー出会いから30年ー