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初めて緩和ケア内科を受診される皆さんへ


初めて緩和ケア内科を受診される皆さんへ

人はどんなときでも自分の思い通りに生きていたいと思っています。
たとえ病気になっても、それが「がん」という、いのちに関わるような病気になっても、いつまでも自分らしさを失いたくないというのは私たち人間に共通の願いなのではないでしょうか。病気には始まりと終わりがあります。その時その時に応じて、最善の治療を受けていくのが望ましいことは言うまでもありません。

では、がんが見つかった場合、最善の治療を受けながら自分が願う通りに生きるためにはどのような選択肢があるのでしょうか。一般的に、がんの初期には自覚症状も少なく、病気と闘う体力・気力もありますので、手術、抗がん剤治療、放射線治療などの厳しい治療に耐えることができます。その結果がんが完全に治ることも確かに増えてきました。

しかし、はじめから進行した状態で発見されたり、治療後に再発してしまった場合には、必ずしもこのような治療法が最善とは言えなくなります。なぜなら、病気がすでに複数の重要な臓器に転移していたり、つらい治療に耐えるだけの体力が十分に残っていないことが多いからです。

このような時、自分を見失わずにより良く生きるためには、病気ととことん闘うような消耗戦よりは、体力を温存し心安らかに過ごす、いわゆる緩和的治療(ケア)を受けるほうがむしろ賢い選択であるともいえます。その切り替え時期については、治療を担当している主治医と十分に話し合い、理解し納得する必要があります。納得できない場合には、セカンドオピニオン制度 (最善だと思える治療を患者と主治医との間で判断するために別の医師の意見を聴くこと) も用意されていますので利用されるとよいでしょう。
宮城県立がんセンターでは、終末期医療を提供する専門部署として、平成14年に緩和ケア病棟を設置しました。当時は終末期にあると考えられる患者さんおよびそのご家族の「生活の質 Quality of Life(QOL)」の向上のために提供されるのが「緩和ケア」であるとされていました。

その後、緩和ケアにおける知識や経験が積み重ねられるにつれ、病気が進行してしまった時に限らず、早期段階でも緩和ケアが必要だと強調されるようになりました。がん治療中でも痛みや副作用を少なくし、苦痛を予防するという考え方に、緩和ケアの解釈が拡大・発展してきたのです。

当院でも、緩和ケアに携わる専門スタッフがチームを組み、緩和ケア病棟だけでなく、診療各科の外来・病棟においても早い段階から緩和ケアに関する相談を受けられる体制を作りました。平成28年度には緩和ケアセンターを立ち上げ、院内のがん相談支援センターや県内拠点病院、在宅医療機関等との連携を進めることにより、がん診断時より始まる切れ目ない緩和ケア診療体制を準備しました。私たちは治りにくいご病気を抱えておられる皆さんのために、少しでもお役に立ちたいと願っています。