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整形外科


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整形外科

骨・軟部腫瘍とは

整形外科領域で治療する腫瘍は骨腫瘍と軟部腫瘍であり、まとめて「骨・軟部腫瘍」と呼びます。骨腫瘍は骨組織(骨、軟骨、骨膜を含みます)に発生する腫瘍で、軟部腫瘍とは軟部組織(体を支える組織のうち骨・軟骨以外の比較的軟らかな組織)に発生する腫瘍であり、組織への分化の方向により、脂肪系・血管系・筋肉系・神経系など、多岐にわたります。骨・軟部腫瘍は原発性と続発性(二次性)に大きく分けられます。続発性の悪性骨腫瘍において、固形がん(肺癌、乳癌、前立腺癌など)の骨転移や血液がんの骨病変(骨髄腫、リンパ腫など)が多く、原発の主担当科(肺癌なら呼吸器内科、子宮癌なら婦人科、前立腺癌なら泌尿器科、血液がんなら血液内科など)ならびに関連する部門(放射線治療科、緩和ケアチーム、リハビリテーション部門など)と連携して治療にあたっております。

肉腫(サルコーマ)とは

原発性の悪性骨・軟部腫瘍の多くは肉腫(サルコーマ)に属します。患者さんに説明する際、単に「肉腫」と話しても、わかりにくいので、「肉腫とは、悪性腫瘍であり、いわゆるがんの一種です」と説明しております。肉腫は全身の結合組織に発生しますので、整形外科にとどまらず、多くの診療科で治療されております。
肉腫は希少がん(人口10万人あたり6例未満のがん)の代表的疾患であり、診療ならびに治療に専門性が必要であることから、全国規模の研究組織(骨軟部肉腫治療研究会:JMOG)や国内外の専門学会(日本サルコーマ治療研究学会:JSTAR,日本整形外科学会骨・軟部腫瘍学術集会、国際結合組織腫瘍学会:CTOS, 国際患肢温存学会:ISOLS、など)に積極的に参加して、最新の知見を取り入れ、日々の診療にあたっております。

がんロコモとは

「ロコモ」とはロコモティブシンドロームの略で、日本語では運動器症候群と呼ばれます。運動器の障害により移動機能の低下をきたした状態を指し、進行すると要介護になるリスクが高くなります。「がんロコモ」とは「がんとロコモティブシンドローム」の略であり、がん自体、あるいはがんの治療によって、骨・関節・筋肉・神経などの運動器の障害が起きて移動機能が低下した状態です。近年、がん治療の発展に伴い、より長期にがんと付き合っていくことが多くなりました。病気による支障を最小限とし、より快適な生活を送ってゆくためのサポートはがん診療の担うべき大事な使命といえます。
がんロコモを呈する原因として、下記の3つが挙げられ、いずれも当科で対応しております。
  1. がんそのものによるもの
    骨・軟部腫瘍、がん骨転移による骨関連事象(痛み、骨折、麻痺など)

  2. がんの治療(薬物、放射線、手術など)によるもの
    骨・関節障害、筋力低下、末梢神経障害など

  3. がん治療に伴って、がん以外の運動器疾患が悪化することによるもの
    特に、骨粗鬆症、変形性関節症、腰部脊柱管狭窄症などの加齢・変性疾患の症状の悪化

当科の概要

当科では骨・軟部腫瘍(原発、がん転移含め)全般を主な診療対象として受け入れ、手術、リハビリテーション、化学療法、放射線療法、緩和治療を行っております。また、腫瘍と鑑別を有する非腫瘍性疾患(炎症、感染など)の診断や各種がんの治療に伴う二次的障害(薬物療法後の骨粗鬆症などを含む)にも積極的に対応しています。
2名の常勤医と、東北大学からの週3日の診療応援で診療を行っています。外来は週3日(火、木、金)で火・木は院外新患日です。緊急の紹介については、外来日以外でも随時受け入れております。当院は高速道路からのアクセスが良好であることから、宮城県全域および福島県(浜通り)を中心に多くの紹介をいただいており、新患紹介患者総数は令和元年度で463名でした。外来では、通常の診察の他、エコーならびにエコー下針生検を積極的に行っています。令和元年度の外来エコーは568件、外来針生検は154件でした。また、生検の必要な骨腫瘍や体幹深部発生の軟部腫瘍は、入院の上、CTガイド下針生検(放射線診断科に依頼)や手術室での開放生検を行っています。
入院症例は骨・軟部腫瘍(原発性、二次性)症例の他、腫瘍類似疾患や、院内の他科で治療中で、整形外科的治療が必要な患者さんも受け入れております。当院の性格上、がん骨転移や「がんロコモ」の症例も多く診療します。がん骨転移に伴う症状(痛み、神経障害、病的骨折など)をまとめて骨関連事象(SRE)と呼びます。骨転移治療においてSREの予防と適切な対処が重要です。

治療について

良性骨・軟部腫瘍の治療は手術(切除、掻爬、核出術)が基本ですが、経過観察のみの症例も少なくありません。悪性腫瘍の治療においても手術(広範切除)が基本ですが、疾患によっては術前・術後化学療法や放射線治療(粒子線治療含め)も積極的に考慮します。近年のトピックとしては、2014年に骨巨細胞腫に対する分子標的治療薬(デノスマブ、商品名ランマーク)が保険適応となり、特に術前補助療法として用い、効果が得られております(図1)。

骨巨細胞腫に対する術前デノスマブ投与

手術法は四肢において患肢温存が基本ですが、患肢温存での根治的切除が困難な場合は切断・関節離断を考慮します。腫瘍切除後の再建法については、骨移植術(自家骨、人工骨)、人工樹脂(骨セメント)充填術、人工関節置換術、植皮・皮弁形成(形成外科と合同)などがあります。発生部位(後腹膜、胸壁など)によっては関連する専門科(泌尿器科、消化器外科、呼吸器外科など)と連携をとり、安全に手術を行っております。また、肉腫に対する化学療法も入院および通院で積極的に取り組んでおります(図2,表1)。

手術内訳(令和元年度)

レジメン名 使用薬剤名(商品名) 症例数 組織型
AI療法 塩酸ドキソルビシン(アドリアシン)
イホスファミド(イホマイド)
6 未分化肉腫3、脱分化型脂肪肉腫1
明細胞肉腫1、平滑筋肉腫1
GD療法 ゲムシタビン塩酸塩(ゲムシタビン、ジェムザール)
ドセタキセル(ドセタキセル、タキソテール)
2 明細胞肉腫1、平滑筋肉腫1
エリブリン療法 エリブリンメシル酸塩(ハラヴェン) 2 明細胞肉腫1、平滑筋肉腫1

骨転移の治療について

がん患者の増加に伴い骨転移も増加しています。治療としては、骨修飾薬(骨破壊の抑制目的)の投与と照射をまず考慮しますが、適応があれば手術を積極的に行います。骨転移で大きな問題となるのは、病的骨折(特に大腿骨、骨盤、脊椎)と脊髄麻痺です。生命予後・パフォーマンス ステータス(PS)・全身状態・治療の意志を確認の上、治療方針を決定します。脊髄麻痺により緊急手術の適応がある場合は、東北大学脊椎グループと連携のもとに診療にあたっています。骨転移については早期診断、早期介入が重要であり、関連科(放射線診断科、放射線治療科、原発腫瘍の主担当科、腫瘍内科、緩和ケア内科)との密な連携を行い治療にあたっております。

セカンドオピニオンについて

骨・軟部腫瘍において、特に原発性悪性腫瘍(肉腫:サルコーマ)は、診断および治療に難渋することが少なくありません。また良性でも治療方針に悩む場合がしばしばあります。セカンドオピニオンについては悪性(肉腫、骨転移がん)のみならず、良性腫瘍についても積極的にご相談に応じております。納得いく説明を心がけており、受診後、安心してお帰りいただければと思い、日々診療しております。

医師紹介

名前 職名 専門医等
保坂 正美
(ほさか まさみ)
医療局長 日本整形外科学会 整形外科専門医・指導医
日本整形外科学会 骨・軟部腫瘍医
日本整形外科学会 脊椎脊髄病医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
日本サルコーマ治療研究学会(JSTAR) 評議員
骨軟部肉腫治療研究会(JMOG) 幹事
鈴木 一史
(すずき かつし)
診療科長 日本整形外科学会 整形外科専門医
倉田 洸孝
(くらた ひろたか)
医師 日本整形外科学会 整形外科専攻医