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泌尿器科【診療内容】


診療内容

泌尿器科って何をする科なの?なかなかイメージが湧かないかもしれません。実は泌尿器科が扱う疾患の領域は、生まれたての新生児から超高齢者まで非常に幅が広いのですが、がんセンター泌尿器科ではその中でも尿路性器腫瘍に特化して診療を行なっています。
症例が多い順に疾患を挙げると次のようになります。
・前立腺がん
・尿路上皮がん (膀胱がん・腎盂がん・尿管がん)
・腎細胞がん
・副腎腫瘍
・精巣がん
・陰茎がん、その他の希少がん

①前立腺がん

開設当初より、当科では前立腺がんの診療に力を入れてきました。1994年には名取市保健センターや地域のクリニックと共同で「名取市前立腺がん検診」を開始し、宮城県における前立腺がん検診の先駆けとなりました。やりっぱなしの検診では意味がありませんが、名取市の場合、保健センターの努力によって二次検診 (精密検査) 対象者の受診率は90%を越えており、全国的に見ても実効性の高い検診として評価されています。また、精密検査を当科で一手に担うことにより均質で精度の高い前立腺がん診断ができることも特徴の一つです。2020年には県内唯一となる「MRI画像融合前立腺生検」を開始し、前立腺がん診断の精度が更に向上しました。治療については2019年に手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」を導入し、極めて侵襲が少ない (体に優しい) 前立腺全摘術を行っています。放射線治療は、2023年2月から「寡分割照射」を開始しました。これは従来39回分割 (約8週間) だった照射回数を、1回あたりの放射線量を増やして20回分割 (約4週間) で完了するものです。精度の高い放射線治療機器を持つ、当院放射線治療科との連携で実施可能になりました。
近年の薬物治療の進歩も目覚ましいものがあります。前立腺がんの状態 (悪性度やステージ) に合わせて様々な治療薬が使用可能です。ある特定のがん抑制遺伝子に変異がある場合にのみ使用できる薬剤があり、コンパニオン診断のための遺伝子パネル検査も積極的に行っています。

MRI

MRI

前立腺がんは、経直腸超音波の画像を見ながら前立腺に針を刺して組織を採取し、顕微鏡でがん細胞を確認することで確定診断します。MRI画像融合生検は悪性度の高い前立腺がんをより効率的に検出するための検査方法です。MRI画像で確認された前立腺腫瘍の位置を経直腸超音波の画像にコンピューター上でリアルタイムに合成することで、「標的」を正確に穿刺する (射抜く) ことができます。当初は高度先進医療でしたが、現在は通常の保険診療で実施しています。本検査を実施できるのは、県内では当科のみです。

ダ・ヴィンチ

ダ・ヴィンチ

ダ・ヴィンチ

②尿路上皮がん (膀胱がん・腎盂がん・尿管がん)

尿の通り道に発生するがんの事を尿路上皮がんと言います。最も多い原因は “喫煙”と言われています (禁煙を強くお勧めします) 。
膀胱がんは、診断を兼ねて尿道から内視鏡を入れて手術をします。多発している場合や、膀胱の筋肉まで浸潤している進行がんの場合は膀胱全摘術の適応になります。当院では手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」を用いて膀胱全摘術を実施しています。開腹手術と比べて出血量が極めて少なく、術後の合併症も少ないため早期退院、早期社会復帰が可能になっています。
腎盂がん、尿管がんは、主に腹腔鏡を用いて手術を行っていますが、病状によっては開腹手術が必要になることがあります (2023年度から「ダ・ヴィンチ」を用いた手術を開始予定です) 。
尿路上皮がんに対する薬物治療は長年あまり進歩がなく、数種類の抗がん剤しかありませんでした。近年、「免疫チェックポイント阻害薬」などの新しい治療薬が使用可能になり、生存期間の延長が期待されています。

③腎細胞がん

腎臓には尿を作る働きと尿を流す働きがあります。腎細胞がんは尿を作る働きをする細胞から発生するがんです。腎細胞がんに対しては、その大きさや進展具合に応じて、開腹腎摘除術、腹腔鏡下腎摘除術、腎部分切除術を選択します (2023年度から「ダ・ヴィンチ」を用いた腎摘除術と腎部分切除術を開始予定です) 。
また、近年の腎細胞がんに対する薬物療法の発達は目覚ましいものがあります。さまざまな種類の分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬、それらを組み合わせたコンビネーション治療などが行われています。

④副腎腫瘍

副腎腫瘍は他の疾患の精密検査中に偶然見つかる事が多い腫瘍です。一般的に良性悪性の区別 (悪性の場合、転移性なのか原発性なのかも含め) がつきにくく、病状に応じて腹腔鏡下手術を行なったり、定期的な経過観察を行なったりします。知名度の低さの割に考えなければならないことが多岐に渡るため、専門的な治療を目的として東北大学病院での検査と治療をお勧めすることもあります。

⑤精巣がん

20歳前後で発症することが多いがんです。若年者の固形がんの中で最も多いがんと言われています。近年では発症年齢が高齢化しており、50〜60歳代で発症する患者さんも増えてきています。痛くもなんともないが、気づいたら精巣に固いしこりが触れるとか、精巣が大きく腫れてきた時には、恥ずかしがらずに速やかに泌尿器科を受診してください。何だかわからないがとにかく具合が悪く体重がみるみる減ったなどの症状で原因究明のためにC Tを撮影すると、後腹膜 (腹部大動脈や下大静脈の周辺) や縦隔 (心臓の周辺) に腫瘍が見つかり、精巣がんと診断されることもあります。当科では、精巣がんの治療に長年実績のある東北大学病院泌尿器科と連携して治療を行っています。
早く診断がついて早く治療を開始すれば長期生存が期待できる病気です。繰り返しですが、症状がある時は恥ずかしがらずに早めに泌尿器科を受診してください。

⑥陰茎がん

陰茎がんは日本人にはとても少なく、一般病院では滅多に診療することがない病気です。プライバシーに関わるところですので受診をためらう事があるかもしれませんが、もし陰茎に気になる症状がある場合は放置しないで早めに泌尿器科を受診することをお勧めします。病状に応じて手術や抗がん剤の治療を行います。