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婦人科【診療内容】


診療内容

≪対象とする主な疾患の初回治療法≫

子宮頸がん

・子宮頸部上皮内病変・子宮頸部上皮内癌
比較的若い世代で見つかる疾患であるため、今後妊娠を希望している患者さんには妊孕性温存治療として子宮頸部円錐切除術 (子宮の入り口を円錐型に切除し、子宮温存) を行います。子宮を温存しても子宮の入り口が短くなることにより不妊症や流早産のリスクが上昇する可能性があると報告されています。妊娠を希望していない場合には根治的治療として子宮全摘出術を行うこともあります。患者さんの状況に応じて開腹手術・鏡視下手術 (腹腔鏡下手術やロボット支援手術) を行います。
・浸潤子宮頸がん
進行子宮頸がんの場合は組織型や進行期に応じて広汎子宮全摘術や放射線単独治療、同時化学放射線治療、全身化学療法が選択肢となります。手術療法の際は年齢や組織型、進行期に応じて卵巣移動術を行い、術後放射線治療を要した場合の卵巣機能障害を回避します。排泄障害を生じるリスクが高い広汎子宮全摘術の場合は骨盤神経温存術式を取り入れ、術後の排尿・排便障害ができるだけ少なくなるように努めています。

子宮体がん

・子宮内膜異型増殖症
子宮体癌の前癌病変。30~40%の症例で子宮体癌を合併しているとの報告もあり、子宮内膜全面掻爬術で内膜組織の病理診断を行ってから治療方針を決めています。標準治療は子宮全摘術ですが、若い方で妊娠希望がある場合はホルモン治療も選択肢となります。しかし根治に至らない場合や再発することもあるため、治療後も慎重な経過観察が必要です。
・子宮体がん
子宮全摘術+両側付属器切除術+骨盤リンパ節郭清・生検を基本とし、組織型や腹腔内所見により傍大動脈リンパ節郭清・生検や大網切除を追加します。手術所見・病理診断で決定となる再発リスク分類に基づいて術後化学療法の必要性を検討します。進行子宮体がんの場合は全身化学療法が主体となります。近年子宮体がんに対して腹腔鏡下手術やロボット支援手術が保険収載されました。当院でも早期子宮体がんに対してより低侵襲な治療を積極的に行えるよう取り組んでいます。

卵巣・卵管・腹膜がん

卵巣・卵管・腹膜がんは症状が生じにくい臓器であるため、進行がんでみつかるケースが少なくありません。腫瘍減量手術と全身化学療法の組み合わせが初回治療の基本となります。腹腔内臓器であるため、子宮がんのように術前に組織診断を行うことが難しく、手術時の迅速病理診断や胸・腹水などの体液を用いた細胞診断で悪性所見から確定診断します。手術は子宮全摘術+両側付属器切除術+骨盤・傍大動脈リンパ節郭清+大網切除を標準術式としていますが、腫瘍減量を目的として腸管や腹膜など周囲臓器の合併切除を要する場合があります。またⅢ期以上の進行症例はリンパ節郭清が予後に影響を与えないとする最新の臨床試験の結果に準じて、侵襲の高い術式を回避しスムーズに術後化学療法を開始できるようにしています。
卵巣・卵管・腹膜がんに対する化学療法は、がんそのものを攻撃する抗がん剤と、がんになりやすい環境に対して作用する分子標的薬を組み合わせて行われることが多くなっています。治療薬の選ぶ上で、どのようながんのタイプかを詳しく調べるコンパニオン診断を行う場合があり、より患者さんに合った治療を提供できるように努めています。

最近のトピック①:遺伝性乳癌卵巣癌症候群の患者さんに対するリスク低減卵巣卵管切除

乳癌や卵巣癌の中には遺伝的要因が強く関係して発症する遺伝性腫瘍 (家族性腫瘍) があり、遺伝性乳癌卵巣癌症候群 (Hereditary Breast and Ovarian Cancer:以下 HBOC) もその中の一つです。この疾患に関与しているBRCA1/2遺伝子に生まれつきの変異があると分かったときにHBOCと診断されます。乳癌を発症しHBOCと診断された患者さんに対して、卵巣癌の発症を未然に防ぐための予防的に卵巣・卵管を切除する手術を行うことができるようになりました。

最近のトピック②:婦人科悪性腫瘍に対する鏡視下手術開始

子宮体部や子宮頸部の早期がんに対しての鏡視下手術を開始しました。小さい傷で手術侵襲を抑え、開腹手術で視野が取りづらい部分でも精度の高い操作ができるメリットがあります。病気のタイプや推定される進行期により適応が異なるため、術前評価を行った上で術式決定となります。詳細は外来受診時にお尋ねください。