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ホーム >  診療科・部門紹介 >  各部門案内 >  宮城県がん登録室 >  7 届出項目⑱~㉕(初回治療情報)

7 届出項目⑱~㉕(初回治療情報)


Q7-1)「〇〇治療の有無」の考え方について、教えてください。
 1. 「〇〇治療の有無」は、自施設でその治療を初回治療として行ったかどうかで判断します。
   ① 自施設で初回治療を行った場合…「自施設で施行」
   ② 自施設で初回治療を行わなかった場合…「自施設で施行なし」
   ③ 「施行の有無不明」は、原則として選択しません。
 2. この「初回治療」は、Q6-3でも説明しましたが、がん登録特有の考え方であり、次のとおりとなっていま
   す。詳細について確認する必要があるときには、「全国がん登録届出マニュアル」20ページを確認してくだ
   さい。
   ① がんでは、診断後、様々な治療が行われることがありますが、このうち、最初の診断に引き続いて行わ
     れた治療を初回治療と言います。
   ② がん登録では、自施設で施行した初回治療のうち、がんの縮小や切除を目的とした治療を「〇〇治療の
     有無」の項目で登録します。
   ③ がんの縮小や切除を目的としない治療、例えば、痛みや症状の緩和のための治療は登録対象ではありま
     せん。
   ④ この初回治療は、必ずしも短期間で終わるわけではないため、どの範囲までの治療を含めるのかが問題
     となりますが、次の治療を初回治療として扱います。
     (ア) 治療計画として診療録に明記されたもので、その完了まで行われた治療
     (イ) 治療計画として明記されていないが、その施設としては、そのがんに対して通常行われる治療であ
       って、その完了まで行われた治療
     (ウ) 治療計画として明記されていないが、最初の診断に引き続いて行われた治療であって、期待した治
       療効果が得られず、別の治療を開始するまでに行われた治療。ただし、最初の診断から4か月以上
       を経過して開始された治療は含めない。
     (エ)経過観察を選択した場合は、経過観察を開始した施設に限り、その経過観察を初回治療とみなしま
       す。これは、治療施設がないということを避けるための便宜的な扱いです。ただし、このようにし
       て便宜的に治療施設が定まったとしても、「〇〇治療の有無」の項目は、該当する治療を行ってい
       ないため、すべて「自施設で施行なし」となります。
     (オ)血液や骨髄のがんの場合、がんによる症状を抑えた状態である寛解(かんかい)を目標として寛解
       導入療法が行われます。そして、その結果を踏まえて、寛解を目指してその後の治療が選択されま
       す。この最初の寛解までに行われた治療、また、この寛解の状態を維持するために行われた治療の
       すべてを初回治療とします。ただし、最初の寛解後の再燃に対して行われた治療は初回治療には含
       めません。
   ⑤ がんの病巣の切除を目的として行われる治療として、外科的治療、鏡視下治療、内視鏡的治療がありま
     すが、これらの違いは、次のとおりです。
     (ア) 外科的治療
      ・肉眼的視野下の外科的手技による手術
      ・開頭手術における光学機器による視野を用いた手術
     (イ) 鏡視下治療
      ・口、鼻孔、尿道口、肛門などの自然開口部以外の皮膚などを切開して挿入された光学的機器を用い
       た手術
      ・口、鼻孔、尿道口、肛門などの自然開口部から光学的機器を挿入し、さらにその管腔壁から切開な
       どを行って機器を挿入して行う手術
      ・腹腔鏡などの光学的機器を用いた手術、光学的機器の補助下に行われた手術
     (ウ) 内視鏡的治療
      ・口、鼻孔、尿道口、肛門などの自然開口部を介して挿入された光学的機器(内視鏡)を用いた手術
   ⑥ がんの治療は、様々な方法があり、部位によっても違いがあります。どの部位のがんで、どのような治
     療が行われるのかを理解するためには、例えば、院内がん登録の資料を参照するのもひとつの方法で
     す。下記のサイトでは、39の部位のがんについてテキストが掲載されていますので、必要に応じて参照
     してください。
     国立がん研究センター「院内がん登録支援」の「部位別テキスト」
     https://ctr-info.ncc.go.jp/hcr_info/learn/

Q7-2)「外科的・鏡視下・内視鏡的治療の範囲」あるいは「観血的治療の範囲」の考え方について、簡
    単に教えてください。

 1. 外科的治療、鏡視下治療、内視鏡的治療は、がんの病巣を切除する治療であり、観血的治療と言います。こ
   の項目は、これらの治療によって、がんが取り切れたのかどうか、がんの残存がないのかどうかについて、
   適切な項目を選択します。
   ① 腫瘍遺残なし
     がんが取り切れて、がんの遺残がない状態。リンパ節転移や遠隔転移がある場合は、転移巣とともに原
     発巣を切除した場合。
   ② 腫瘍遺残あり
     がんが取り切れず、がんの遺残がある状態。リンパ節転移や遠隔転移がある場合で、原発巣だけを切除
     した場合、あるいは転移巣だけを切除した場合。
   ③ 観血的治療なし
     自施設で観血的治療を行っていない場合は、これを選択します。
   ④ 不明
     がんの遺残の有無について不明な場合
 2. 自施設で観血的治療を行った場合に、「腫瘍遺残あり」、「腫瘍遺残なし」、「不明」のいずれかを選択し
   てください。自施設で観血的治療を行っていない場合には、「観血的治療なし」を選択してください。

Q7-3)外科的治療や鏡視下治療の有無、観血的治療の範囲について、次のような場合はどうしたらよい
    ですか?

 1. がんの切除を伴わない手術の場合
   切除ができず試験開腹になった場合、吻合術・バイパス術のみの場合、腸閉塞症状に対するステント留置を
   行った場合などが該当し、以下のとおり選択します。
   ① 外科的治療、鏡視下治療…「自施設で施行なし」
   ② 観血的治療の範囲…「観血的治療なし」
 2. 「切除生検」あるいは「生検」と記載されている場合
   ① 検査目的の場合
     (ア) 外科的治療、鏡視下治療…「自施設で施行なし」
     (イ) 観血的治療の範囲…「観血的治療なし」
   ② 治療目的でもある場合
     (ア) 外科的治療、鏡視下治療…いずれか「自施設で施行」
     (イ) 観血的治療の範囲…「腫瘍遺残なし」、「腫瘍遺残あり」、「不明」のいずれか
 3. 化学療法や放射線療法など他の治療を開始した後の手術(緊急手術を含む)
   ① 手術が初回治療計画に含まれていた場合
     (ア) 外科的治療、鏡視下治療…いずれか「自施設で施行」
     (イ) 観血的治療の範囲…「腫瘍遺残なし」、「腫瘍遺残あり」、「不明」のいずれか
   ② 手術が初回治療計画に含まれていない場合
     (ア) 外科的治療、鏡視下治療…「自施設で施行なし」
     (イ) 観血的治療の範囲…「観血的治療なし」

Q7-4)内視鏡的治療の有無、観血的治療の範囲について、次のような場合はどうしたらよいですか?
 1. 大腸がん疑いでのポリープを内視鏡的に切除した場合
   ① 内視鏡的治療…「自施設で施行」
   ② 観血的治療の範囲…「腫瘍遺残なし」、「腫瘍遺残あり」、「不明」のいずれかを選択(検査だけでは
     なく治療目的でもあるため)
 2. 大腸がんの疑いでポリープを内視鏡的に切除し、病理検査では断端陽性で、追加的に外科的(あるいは鏡視
   下)に切除し、病理検査で断端陰性であった場合
   ① 内視鏡的治療…「自施設で施行」
   ② 外科的治療、あるいは、鏡視下治療…「自施設で施行」(通常、内視鏡的治療で遺残があった場合は、
     手術を行うことが想定されており、追加的な外科的治療は初回治療)
   ③ 観血的治療の範囲…「腫瘍遺残なし」(最終的に行われた外科的治療の結果で選択するため)
 3. 大腸がんで内視鏡的に切除し、病理検査では断端陽性で、追加的に外科的(あるいは鏡視下)に切除し、病
   理検査で断端陰性であった場合…上記2.と同じ
 4. 大腸がん疑いでのポリープを内視鏡的に切除し、病理検査では断端陽性で、追加的な切除術(外科的治療あ
   るいは鏡視下治療)を他施設に紹介した場合
   ① 内視鏡的治療…「自施設で施行」
   ② 外科的治療、鏡視下治療…「自施設で施行なし」
   ③ 観血的治療の範囲…「腫瘍遺残あり」(紹介した時点での結果で選択するため)
 5. 大腸がんで内視鏡的に切除し、病理検査では断端陽性で、追加的な切除術(外科的治療あるいは鏡視下治
   療)を他施設に紹介した場合…上記4.と同じ
 6. 膀胱がんに対するTUR-BTの場合
   ① 検査目的の場合
     (ア) 内視鏡的治療…「自施設で施行なし」
     (イ) 観血的治療の範囲…「観血的治療なし」
   ② 治療目的でもある場合
     (ア) 内視鏡的治療…「自施設で施行」
     (イ) 観血的治療の範囲…「腫瘍遺残なし」、「腫瘍遺残あり」、「不明」のいずれか

Q7-5)放射線療法の有無について、次のような場合はどうしたらよいですか?
 入院中の患者さんについて、他施設に紹介して外来で放射線治療を受けた場合…「自施設で施行なし」を選択

Q7-6)化学療法の有無について、次のような場合はどうしたらよいですか?
 1. 膀胱がんに対するマイトマイシンCの膀胱内注入を自施設で施行した場合…「自施設で施行」を選択
 2. 胃MALTリンパ腫に対するピロリ除菌を自施設で施行した場合…「自施設で施行」を選択

Q7-7)内分泌療法の有無について、次のような場合はどうしたらよいですか?
 1. 血液腫瘍に対する化学療法を開始し、その後、副作用によりステロイドへ変更した場合
   ① 化学療法の有無 …「自施設で施行」を選択
   ② 内分泌療法の有無…「自施設で施行なし」を選択(血液腫瘍に対するステロイド治療は内分泌療法だ
     が、本症例では、副作用によって変更したものであって初回治療に含まれないため)
 2. 甲状腺がんに対するチラーヂンの投与の場合
   ① 甲状腺ホルモンの補充を目的…「自施設施行なし」を選択
   ② TSHというホルモンの抑制を目的…「自施設で施行」を選択

Q7-8)その他の治療の有無について、次のような場合はどうしたらよいですか?
 1. 膀胱がんに対するBCGの膀胱内注入を自施設で施行した場合…「自施設で施行」を選択
 2. 皮膚がんへのイミキモドクリームを処方…「自施設で施行」を選択
 3. 胃がんや食道がんに対してAPC(アルゴンプラズマ凝固)焼灼を行った場合…「自施設で施行」を選択
 4. 肝細胞がんに対してTAE(肝動脈塞栓療法)を行った場合…「自施設で施行」を選択
 5. 肝細胞がんに対してTACE(肝動脈化学塞栓療法)を行った場合
   ① 化学療法の有無  …「自施設で施行」を選択
   ② その他の治療の有無…「自施設で施行」を選択

Q7-9)その他、初回治療の有無について、次のような場合はどうしたらよいですか?
 1. 自施設で複数のがん(肺がんと食道がん)を発見し、そのうち、進行しているがん(肺がん)を他施設で先
   に治療し、別ながん(食道がん)はその後、自施設で内視鏡的に治療することになり、他施設に紹介し、進
   行しているがん(肺がん)の治療を受け、その約半年後、別ながん(食道がん)について内視鏡で切除した
   場合
   ① この例では、肺がんと食道がんの双方の届出が必要
   ② 肺がんの初回治療について…他施設への紹介時点までの情報での届出とし、すべての治療について「自
     施設で施行なし」を選択
   ③ 食道がんの初回治療について…自施設で治療を終えた時点までの情報での届出とし、内視鏡的治療の有
     無についてのみ「自施設で施行」を選択
 2. 自施設でがんと診断後、外科的治療を勧めるも来院せず。約1年後、再受診し、進行していたため化学療法
   と放射線療法を行った場合
   ① 再受診までで届出となった場合…初回治療はすべて「自施設で施行なし」を選択(その時点で未治療で
     あったため)
   ② 再受診した後の時点で届出となった場合…初回治療はすべて「自施設で施行なし」を選択(患者さんの
     意向により初回治療はなしの扱い。また、再受診後の治療は、初回治療の定義に該当しないと判断、あ
     るいは、初回治療計画の変更とみなし、登録の対象外の扱い)