グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



ホーム >  診療科・部門紹介 >  各部門案内 >  宮城県がん登録室 >  5 届出項目⑧~⑩(腫瘍情報)

5 届出項目⑧~⑩(腫瘍情報)


Q5-1)詳細が不明のため、届出項目の多くについてわからない状況ですが、届出情報の作成はどうした
    らよいですか?

 1. 電子届出票に未入力(空欄)の項目がある場合、そのままでは警告が出てしまい、保存ができません。判明
   している情報については適切に入力していただき、不明な項目については、不明に該当する項目を選んでく
   ださい。
 2. 例えば、他施設から診断や治療後の患者さんで、がんに関する詳細情報が不明の場合には、次の例を参考に
   不明に該当する項目を選んでください。
   ① 側性…選択した原発部位に沿って選択(Q5-2を参照)
   ② 原発部位
     (ア) 大分類 …詳細情報があれば入力、なければ、「その他」を選択
     (イ) 詳細分類…詳細情報があれば入力、なければ、「原発部位不明」を選択
   ③ 病理診断…詳細情報があれば入力、なければ、「悪性腫瘍」を選択
   ④ 診断根拠…詳細情報があれば入力、なければ、「不明」を選択
   ⑤ 診断日…そのがんについて初めて自施設を受診した日を入力
   ⑥ 発見経緯…詳細情報があれば入力、なければ、「不明」を選択
   ⑦ 進展度・治療前…「不明」を選択
   ⑧ 進展度・術後病理学的…「手術なし・術前治療後」を選択
   ⑨ 〇〇治療の有無…すべて「自施設で施行なし」を選択
   ⑩ 外科的・鏡視下・内視鏡的治療の範囲…「観血的治療なし」を選択
Q5-2)側性の考え方について、教えてください。
 人の部位や臓器は、左右で対の関係になっているものとなっていないものがあります。この左右のどちらにある
 かのことを側性(そくせい)と言います。側性は、次の手順で判断してください。
 ① 側性のある部位・臓器かどうか確認する…「全国がん登録届出マニュアル」31ページまたは宮城県がん登録
   室が提供している「全国がん登録みやぎの手引き【実践編】」を参照
   (ア) 側性のある部位・臓器の場合…診療録に記載されている側性を選択、診療録に記載がないときは、「不
     明」を選択
   (イ) 側性のない部位・臓器の場合…「側性なし」を選択
Q5-3)原発部位の考え方について、教えてください。
 原発部位は、がんが発生した部位や臓器のことを言います。胃がんや大腸がんなど、病名と原発部位が一致して
 いる場合は、理解しやすいのですが、中には、一致していないものがあります(例えば、悪性リンパ腫、白血
 病、骨肉腫など)。また、原発部位を入力する際、電子届出票やHos-CanR Liteでは、大分類と詳細分類の2つの
 項目がありますので、それぞれについて当てはまるものを選択する必要があります。対応に当たっては、次の例
 を参考にしてください。
  ① 選択肢で表示された部位から当てはまる部位を選択してください。
  ② 一致するものがないときは、近いと思われる選択肢、あるいはいずれかひとつ選択肢を選び、備考欄に診
    療録に記載されている部位や病名を入力してください。
  ③ 原発部位が不明なときは、次のとおりです。
    (ア) 大分類…「その他」を選択
    (イ) 詳細分類…「原発部位不明」を選択
  ④ 詳細部位だけが不明なときは、選択肢で表示された部位から不明に該当する部位を選択してください。選
    択肢に不明に該当する部位がないときは、いずれかひとつを選び、備考欄に診療録に記載されている部位
    や病名を入力してください。
  ⑤ 複数のがんがある場合は、Q3-6を参照してください。
  ⑥ 転移したがんの場合、転移した部位ではなく、がんが原発した部位を入力してください。
  ⑦ 異所性に発生したがんの場合、その異所性に発生した部位を選択してください。
  ⑧ がん登録で使われている部位については、次を参考にしてください。
    「全国がん登録届出マニュアル」の付録[3]一覧:国際疾病分類腫瘍学第3版(3.2版)の局在コード及び
    和名
  ⑨ レセプトやDPCの病名は、必ずしも原発部位と一致しているとは限りませんので、ご注意ください。
Q5-4)原発部位について、次のような場合はどうしたらよいですか?
 1. 脳(詳細部位不明)
   (ア) 大分類…脳、脊髄、脳神経その他の中枢神経系
   (イ) 詳細分類…最も近いもの(大脳など)を選択
   (ウ) 備考欄…「脳(詳細部位不明)」と入力
 2. 十二指腸にある副乳頭部のがん
   (ア) 大分類…膵
   (イ) 詳細分類…膵管
   (ウ) 備考欄…「副乳頭部のがん」と入力
 3. 脊索腫…頭蓋から仙骨まで発生が見られますが、例えば頭蓋の場合、次のとおり入力してください。
   (ア) 大分類…骨軟部
   (イ) 詳細分類…骨関節 頭蓋骨、顔面骨(下顎を除く)
   (ウ) 病理診断…「脊索腫」
 4. 頭部血管肉腫…頭部の皮膚、軟部組織や結合組織、骨に発生が見られるので、カルテを確認してください。
   頭部血管肉腫としか情報がない場合は、次のとおり入力してください。
   (ア) 大分類…骨軟部
   (イ) 詳細部位…軟部 頭部、顔面及び頚部(眼窩及び鼻軟骨を除く)
   (ウ) 備考欄…「頭部血管肉腫」と入力
Q5-5)病理診断は、診療録のどこを見ればわかりますか?
 1. 病理診断は、患者さんから採取された細胞や病巣部分の組織を使い、病理医が顕微鏡で観察して診断した結
   果のことを指し、次のようなものがあります。
   ① 細胞診…血液、尿、喀痰などの細胞診、乳腺や甲状腺などに対して針を刺して行う穿刺吸引細胞診、子
     宮などに対して綿棒でこすって行う擦過細胞診などがあります。
   ② 組織診…診断を目的として、病巣部分から採取された組織を用いて行う検査で、がんの診断を行う上で
     最も確かな検査と位置付けられています。
     (ア) 生検(生検組織診)…診断を目的として採取した病巣部分の組織を使って検査するものです。内視
       鏡検査の際に併せて組織を採取して行われる場合もあれば、乳房のしこりなどを採取して行われる
       場合などがあります。また、手術時に、切除範囲を決定するために行う術中迅速診断もこれに該当
       します。
     (イ) 手術の摘出標本の組織診…治療目的で外科的に切除、あるいは、内視鏡で切除した組織を使って検
       査するものです。
 2. 細胞診よりも生検(生検組織診)が、生検(生検組織診)よりも手術摘出標本の組織診がより正確な診断と
   位置付けられています。また、採取した細胞や組織の量や状態から、この順番で詳しい情報が得られるた
   め、病理診断の項目は、より詳しい情報を参考にします。
 3. 細胞診や組織診の結果は、報告書として主治医に報告され、診療録に保存されます。悪性またはがんに該当
   する旨の記載があるかどうかを確認してください。また、報告書は通常、専門的な医学用語(英語)で記載
   されていることが多いため、診療に従事しない方にとっては、理解することが難しい内容です。必要に応じ
   て、医師に確認してください。
 4. 病理診断報告書の概要は、診療の経過や退院時サマリ―(退院時要約)に「病理所見」などとして記載され
   ることが多いです。また、紹介状や入院時サマリ―(入院時要約)に「病理所見」として記載されることも
   あります。
 5. したがって、実際の届出情報の作成に際しては、読み取りの難易度と効率性の観点から、次の順番で確認す
   ることをお勧めします。
   ① 退院時サマリー(退院時要約)や入院時サマリー(入院時要約)
   ② 紹介状
   ③ 診療の経過の記録
   ④ 病理診断の報告書
Q5-6)病理診断の入力方法について、教えてください。
 病理診断の入力に当たっては、次を参考にしてください。
  ① 選択肢で表示された部位から当てはまる項目を選択してください。
  ② 病理診断は、原発部位の大分類、次いで詳細分類を選ぶことで、ようやく候補となる項目を選択肢から選
    択できます。選択肢の中に一致する項目がないときは、近いと思われる選択肢、あるいはいずれかひとつ
    選択肢を選び(例えば、「悪性腫瘍」など)、備考欄に診療録に記載されている病理診断を入力してくだ
    さい。
  ③ 「全国がん登録届出マニュアル」の36ページでは、診断根拠が顕微鏡的(病理学的)診断でない時に用い
    てよい形態コードが示されています。ここに掲載されているがんの場合には、該当する組織診断名と一致
    する選択肢を選択してください。
  ④ 病理診断の報告書がない、あるいは、診療録に記載がないため、病理診断が不明なときは、選択肢から
    「悪性腫瘍」を選択してください。
  ⑤ 病理診断が行われていないときであっても、病理診断を入力する必要があります。そのときは、選択肢か
    ら「悪性腫瘍」を選んでください。
  ⑥ 他施設からの紹介で病理診断が不明のときや、病理所見かどうか疑わしいときは、選択肢から「悪性腫
    瘍」を選択してください。
  ⑦ 血液や骨髄のがんの場合、次のように選択してください。
    (ア) 大分類…「白血病、骨髄、血液」を選択
    (イ) 詳細分類…「白血病、骨髄(マクログロブリン血症を除く)」または「血液(マクログロブリン血
      症)」を選択
    (ウ) 病理診断…選択肢から選択
  ⑧ 手術で摘出した標本の病理診断では、原発部位に加え、リンパ節に関する情報も得られます。リンパ節に
    関する情報は、通常、リンパ節転移の有無を判断する材料となりますが、病理診断に反映させる項目はあ
    りません。別な届出項目である「⑰進展度・術後病理学的」に反映させてください。
Q5-7)病理診断について、次のような場合はどうしたらよいですか?
 1. ひとつの部位・組織にひとつのがんがあり、異なる複数の組織型が記載されている場合
   より多くの部位を占めている組織型を選択してください。より多くの部位を占めているかどうかわからない
   ときは、「全国がん登録届出マニュアル」の付録[2]に掲載されている「組織型」の項目にある数字が大き
   いほうの組織型を選んでください。次の例も参考にしてください。
   ① tub1>tub2…tub1を選択(より多くの部位を占めているため)
   ② por(8140/33)とsig(8490/3)と併記…sigを選択(「全国がん登録届出マニュアル」の付録[2]に掲
     載されている「組織型」の項目にある数字が大きいため)
 2. ひとつの部位・組織に複数のがんがあり、異なる組織型が記載されている場合
   部位・組織によって、複数のがんとして扱うかひとつのがんとして扱うかが変わってきます。不明なとき
   は、宮城県がん登録室までお問い合わせください。(Q3-6を参照)
 3. 病理診断に分化度の情報がある場合
   電子届出票に直接入力される施設は、分化度の選択肢が無いため、備考欄へ情報を入力してください。ま
   た、Hos-CanR Lite等のシステムをご利用の施設で、分化度のコードが選択できる場合は、選択肢から適切
   なものを選んでください。なお、判断に迷った場合は、不明を選択の上、備考に病理診断結果を入力してく
   ださい。
 4. 胃のMALTリンパ腫の場合
   (ア) 原発部位の大分類…「胃、小腸」を選択
   (イ) 詳細分類…該当するもの(または近いもの)を選択
   (ウ) 病理診断…「悪性リンパ腫」を選択
   (エ) 備考欄…「胃のMALTリンパ腫」と入力
 5. 消化管間質腫瘍(GIST)の場合
   (ア) 病理診断…「胃腸間質腫瘍」を選択
 6. 神経内分泌腫瘍(NET)、神経内分泌がん(NEC)の場合
   (ア) 病理診断…「神経内分泌癌」を選択
   (イ) 備考欄…高分化、中分化、G1、G2、G3などの情報がある場合は、備考に入力
 7. 有棘細胞癌の場合
   (ア) 病理診断…「扁平上皮癌」を選択
 8. 成人T細胞性白血病の場合
   (ア) 大分類…「白血病、骨髄、血液」を選択
   (イ) 詳細分類…「白血病、骨髄(マクログロブリン血症を除く)」を選択
   (ウ) 病理診断…「成人T細胞白血病/リンパ腫(HTLV-1陽性)すべての変異体を含む」を選択
 9. 骨髄増殖性腫瘍の場合(それ以上の詳細情報なし)
   (ア) 大分類…「白血病、骨髄、血液」を選択
   (イ) 詳細分類…「白血病、骨髄(マクログロブリン血症を除く)」を選択
   (ウ) 病理診断…「白血病、骨髄、血液」を選択
   (エ) 備考欄…「骨髄増殖性腫瘍」と入力
 10. 原発部位不明だが病理診断が明記されている場合
    (ア) 大分類…「その他」を選択
    (イ) 詳細部位…「原発部位不明」を選択
    (ウ) 病理診断…該当するもの(または近いもの)を選択
 11. 「m癌」「M癌」や「sm癌」「SM癌」とある場合
    m(M)やsm(SM)は、消化管などに発生したがんがどの程度の深さまで及んでいるかを表現する言葉で
    す。ただし、こういった略号は、医師や施設などによって意味が変わることがありますので、医師に確
    認することが必要です。
     ① m(M)…粘膜がん(上皮内がん)のこと
     ② sm(SM)…粘膜下に到達したがんのこと