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放射線管理



放射線管理について

宮城県立がんセンターには病院と研究所があり、それぞれの施設で放射線を利用した検査や治療、研究を行っています。放射線発生装置や放射性同位元素(ラジオアイソトープ:RI)は、取扱いを誤ると人体に障害を及ぼす危険性があります。

このため「放射線が安全に使用されているか」「放射線を取扱う職員の健康状態はどうか」「放射線を取扱う環境(作業場)の状況はどうか」などを公的機関が検査・確認しています。
がんセンターでは、これらのすべての項目に適合し、県や国から許可を得ております。

適用される法律

がんセンターでは以下の法律が適応となっています。
  • 放射線の取扱いを規制する法律
    医療法施行規則(厚生労働省)
    放射線障害防止法(原子力規制庁・原子力規制委員会)

  • 放射線を取扱う職員の健康管理や作業場の環境に関する法律
    電離放射線障害防止規則(厚生労働省)
    作業環境測定法(厚生労働省)
また、定期的に保健所や国の関係検査機関による検査を受けることや自主的な点検を行うことが法律で義務付けられています。

放射線に関する資格

人体に放射線を照射することが許可されている資格は医療法等で定められており、以下の3職種に限定されています。
  1. 医師
  2. 歯科医師
  3. 診療放射線技師
病院の中でも、強い放射線を使用したり、特に危険なものと分類されるRIを取り扱っている施設(がんセンターや大学病院など)には放射線障害防止法が適用され、「第1種放射線取扱主任者」の資格を有する者を1名以上配置し、放射線管理の監督・指導することが義務づけられています。

がんセンターの放射線管理は、病院と研究所があることから、診療放射線技術部に所属する職員の中で、第1種放射線取扱主任者の有資格者が中心となって管理を行っています。
厚生労働省と原子力規制委員会の両方の国家資格を有する職員が担当することで、より充実した放射線の安全管理が行えるよう取り組んでおります。

管理業務内容

  1. 放射線の使用開始や変更の申請
    放射線機器やRIの使用開始や使用等の変更が生じた場合は、手続きを行い申請をする必要があり、その手続きや申請書作成などを行っています。

  2. 放射線機器やRIの点検・維持・保管状態などの管理
    放射線機器の管理やRIの保管状況等を点検し、その結果をまとめています。

  3. 職員に対する放射線の教育訓練の開催
    教育訓練は、放射線を取扱う職員の他、一時的に放射線業務に携わる職員を対象に行っています。
    また、看護職員や新人職員や転入職員にも受講していただき、放射線管理区域や標識等の注意事項、病室でのポータブル撮影時の対応等の講義をしています。

  4. 放射線業務に携わる職員の被ばく線量と健康診断の管理
    放射線業務に携わる職員の被ばく線量を毎月まとめ、報告書を作成しています。
    また放射線の健康診断(労働基準法電離則)の結果と、産業医による評価などをとりまとめて管理しています。

  5. 放射線安全委員会の開催
    放射線障害防止法に定められた放射線障害予防規程に則り、放射線安全委員会を開催しています。
    放射線安全委員会を通じ、センター内の関係各所に放射線の安全管理の情報提供を行っています。
    また放射線安全委員会の資料として、1から4の内容を『放射線管理業務報告書』として年度ごとにまとめ、報告しています。
これらの業務は、患者さんの目に直接触れない内容です。
しかし、放射線管理は放射線の安全使用の根幹をなすものです。
目立たない業務ですが、患者さんをはじめ放射線の取扱いに関係する職員の安全に寄与しています。

放射線管理業務報告書について(医療関係者向け)

宮城県立がんセンターでは、これまでの経験や知識を活かして放射線管理業務の内容の文書化について、力を注いでおります。

その内容については、平成22年の主任者部会ポスター発表で「最優秀賞」を獲得しております。
また、平成17年の全国自治体病院学会の放射線分科会では「座長推薦優良論文」に推薦されております。
詳細については、日本アイソトープ協会発行のIsotopeNews2011年2月号をご参照ください。

RI研究施設について

宮城県立がんセンター研究所では、アイソトープを利用した研究も行われています。その管理は、診療放射線技術部の中から「第1種放射線取扱主任者」の資格を有した職員が兼務しています。日常の実務は、委託業者が担当しています。

研究内容

RI研究施設の写真

研究所施設では、32P(りん32)を利用したがん細胞のリン酸化酵素・脱リン酸化酵素の研究や35S(硫黄35)を利用したがん細胞マーカーの研究を行っています。
(注)詳しい研究内容については、HP内の「研究所」をご覧ください。

リニアック装置等の申請手続きについて

放射線発生装置、放射性同位元素等(医薬品として、核医学検査で使用するRIは除く)の使用を開始する場合、または使用内容に関して変更が生じる場合(装置更新等)は、原子力規制委員会へ使用許可申請または変更許可申請を行い、国から許可を受けなければなりません。

しかし許可証が交付されても、すぐに放射線の使用を開始することはできません。
病院の施設構造等が申請書の内容どおり合致しているかを確認するため、公益財団法人原子力安全技術センターの施設検査を受け、合格する必要があります。
これらの申請書の作成開始から許可証が交付され、施設検査合格まで、最短でも3ヶ月程度の時間を要します。以下、許可証交付までの流れを示します。

使用許可申請または変更許可申請の流れ(放射線障害防止法)

  1. 申請書の作成を開始します。様式は、原子力規制委員会のホームページからダウンロードできます。
    様式に沿って申請に必要な添付文書(施設図面、遮蔽能力計算書,安全機構に関する回路図)等も作成します。
    この申請書は、原子力規制委員会の担当官の方と打ち合わせをするための『下書き用』となります。(専門業者に委託することもできます)

  2. 『下書き用』申請書が完成したら、原子力規制委員会に申請を行う旨の連絡をします。
    直接、電話連絡を取ったほうが担当官の方ともコミュニケーションを取ることができ、その後の段取りがスムーズになる場合があります。

  3. 申請書を郵送します。
    簡易書留で郵送したほうが受取記録も残るので、(発送や受取の)確認がしやすくなります。

  4. 『下書き用』申請書に修正や訂正が必要な場合は、担当官の方から連絡が入ります。
    指摘事項について修正を行い、再度『下書き用』申請書を作成し送ります。
    このやり取りを何度が行いますが、何も指摘事項がなければ「正本を提出してください」と言われます。

  5. 正本を提出します。このときも簡易書留で送ります。
    (手数料がかかります:収入印紙必要)

  6. 原子力規制委員会内で最終審査が行われますので、許可が下りるまで1ヶ月から1ヶ月半の時間がかかります。 この間に施設検査を受けるための準備を行います。

  7. 公益財団法人原子力安全技術センターに電話連絡を入れ、検査日程等を調整してもらいます。

  8. 原子力規制委員会から許可が下りると、許可通知書と許可証が届きます。

  9. 許可証が届いたら、施設検査申請書を作成し公益財団法人原子力安全技術センターに送ります。
    添付書類として、許可証の写し、使用許可申請書(変更許可申請書)の写し、許可通知書の写し等が必要となります。

  10. 施設検査の受付が完了すると、施設検査受理書や請求書、施設検査準備のための連絡書等が送られてきます。準備する書類は、許可証、担当者(名刺)、施設の図面や工事中の写真、コンクリートや鉄、パラフィンなど遮蔽材の成分表、空調ダクトの図面、装置(リニアック等)の型番、インターロックの配線図、漏洩線量測定結果等となります。
    (工事・設計段階で、図面の原本を保管し、鉄板の入った工事写真なども保存した方が無難です)

  11. 施設検査前日、中性子測定サーベイメーターが公益財団法人原子力安全技術センターから送られてきます。検査の際、使用します。

  12. 施設検査当日、準備した書類に沿って検査が実施されます。
    机上での図面の確認後、管理区域内の寸法の実測、監視カメラ、空調ダクト、装置の型番、標識の目視確認、漏洩線量の測定、インターロックの動作確認が行われます。
    検査終了後、担当官より施設検査結果報告書が渡されますので、担当者はサインをします。
    正式な合否の結果は、公益財団法人原子力安全技術センターに持ち帰ったデータを基に審査されます。

  13. 正式に施設検査に合格すると、公益財団法人原子力安全技術センターより電話連絡が入りますので、この時点からリニアック装置が使用可能となります。
    合格証は、後日郵送されてきます。

放射線を取扱い開始時、または変更等を行うには、多くの準備と時間を要します。
また、使用許可証交付後から定期的な点検と結果報告の義務が生じます。
これらを適切に継続的に行うことが、放射線の安全管理につながります。