機械学習を活用した胆汁リキッドバイオプシー技術の開発(発がん制御研究部)
リキッドバイオプシーは、血液や尿などに混入する腫瘍由来DNAを診断に活用する技術です。身体への負担が少なく、癌患者への遺伝子パネル検査なども保険診療で実施されています。しかし、血中の腫瘍由来DNAは微量かつ短く切断されており、得られる情報に限りがあります。一方、胆道系癌患者の胆汁には、原発巣から混入した腫瘍由来DNAが長いまま高濃度に含まれています。我々は、東北大学大学院消化器外科学分野との共同研究で胆道系癌の患者の遺伝子変異検出において、胆汁由来DNAの有用性を検証しました。また、その過程で機械学習を用いることで、既存の多遺伝子パネルの変異検出率を向上させることも試みました。
胆道系癌患者24症例の解析の結果、血漿検体からは17%の症例で癌のドライバー変異が検出されたのに対し、胆汁検体では54%の症例でドライバー変異が検出され、胆汁の方が検出率が3倍以上高いことが示唆されました。また、機械学習を用いることで変異検出率が改善され、さらにはノイズを低下させることにも成功しました。
本研究により、胆道系癌の診断において胆汁リキッドバイオプシーの臨床的有用性が示され、機械学習が多遺伝子パネルによる変異検出精度向上に有効であることが示されました。これらの技術開発は、胆道系癌患者の治療方針立案などに貢献するものと期待されます。
胆道系癌患者24症例の解析の結果、血漿検体からは17%の症例で癌のドライバー変異が検出されたのに対し、胆汁検体では54%の症例でドライバー変異が検出され、胆汁の方が検出率が3倍以上高いことが示唆されました。また、機械学習を用いることで変異検出率が改善され、さらにはノイズを低下させることにも成功しました。
本研究により、胆道系癌の診断において胆汁リキッドバイオプシーの臨床的有用性が示され、機械学習が多遺伝子パネルによる変異検出精度向上に有効であることが示されました。これらの技術開発は、胆道系癌患者の治療方針立案などに貢献するものと期待されます。
発表論文
Ito S., et al. Usefulness of multigene liquid biopsy of bile for identifying driver genes of biliary duct cancers. Cancer Science 08 October 2024.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/cas.16365
Ito S., et al. Usefulness of multigene liquid biopsy of bile for identifying driver genes of biliary duct cancers. Cancer Science 08 October 2024.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/cas.16365