卵巣がんの鉄硫黄クラスター依存と、その分子基盤を解明<br>(がん薬物療法研究部)
鉄硫黄クラスター(Fe-S)は鉄と硫黄で出来た錯体で、細菌から高等動物まで広範な生物種に存在します(図A)。Fe-Sは特定タンパク質(Fe-Sタンパク質と呼ばれる)の決まった箇所に結び付いてはたらくことが知られています。これまでに約70種(ヒトの場合)のFe-Sタンパク質が知られており、それらの機能は多岐にわたっていますが、がんにおける役割は良く分かっていませんでした。
私たちは、Fe-S生合成に重要な遺伝子の1つFDX2が、卵巣がんの~15%で増幅されていることに着目しました。詳しい研究の結果、FDX2の働きを抑えてFe-Sを作れなくすると、卵巣がん細胞のDNAが損傷し、がん細胞の増殖がストップする(FDX2/Fe-S依存)ことが分かりました(図B)。さらに、増殖できなくなった卵巣がん細胞の多様な運命(老化, アポトーシス, フェロトーシス)の決定因子を特定しました(図C)。
卵巣がん細胞と比べ、正常細胞のFDX2依存性は高くないことが予想されるため、FDX2のはたらきを抑える新たな治療への発展が期待されます。また、Fe-S不全に陥った腫瘍細胞の運命決定について、モデルとなる概念的枠組みを打ち立てた重要な成果です。
私たちは、Fe-S生合成に重要な遺伝子の1つFDX2が、卵巣がんの~15%で増幅されていることに着目しました。詳しい研究の結果、FDX2の働きを抑えてFe-Sを作れなくすると、卵巣がん細胞のDNAが損傷し、がん細胞の増殖がストップする(FDX2/Fe-S依存)ことが分かりました(図B)。さらに、増殖できなくなった卵巣がん細胞の多様な運命(老化, アポトーシス, フェロトーシス)の決定因子を特定しました(図C)。
卵巣がん細胞と比べ、正常細胞のFDX2依存性は高くないことが予想されるため、FDX2のはたらきを抑える新たな治療への発展が期待されます。また、Fe-S不全に陥った腫瘍細胞の運命決定について、モデルとなる概念的枠組みを打ち立てた重要な成果です。
【発表論文】
Miyahara S, et al., FDX2, an iron-sulfur cluster assembly factor, is essential to prevent cellular senescence, apoptosis or ferroptosis of ovarian cancer cells.
Journal of Biological Chemistry誌, in press
https://doi.org/10.1016/j.jbc.2024.107678
Miyahara S, et al., FDX2, an iron-sulfur cluster assembly factor, is essential to prevent cellular senescence, apoptosis or ferroptosis of ovarian cancer cells.
Journal of Biological Chemistry誌, in press
https://doi.org/10.1016/j.jbc.2024.107678