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胃がんにおける新しい予後不良因子を発見(がん幹細胞研究部)


胃がんは日本において多数の患者さんがおられ、その死亡数は全癌腫の中で第3位です。早期胃がんの治療は内視鏡治療など多くの進歩がありますが、進行胃がんに関しては依然として治療手段が限られています。
私たちの研究部ではこれまで、BEX2という遺伝子が胆管がん・肝細胞がんにおいて悪性度を亢進させる因子であることを発表してきました(Scientific Reports 2020, Cancer Science 2022)。BEX2遺伝子については研究例がまだ少なく、治療標的としての可能性を明らかにするためにも、さらなる研究が必要です。そこで今回私たちは、治療手段が限られる進行胃がんにおいても、BEX2遺伝子が機能するか調べました。その結果、BEX2が高発現している胃がん症例は予後不良であり(図)、その原因はBEX2ががん悪性化に関わるニコチン酸受容体(CHRNB2)と協同してがん幹細胞性(治療抵抗性)を高めるためであることが示唆されました。
私たちは現在、BEX2が新しい治療標的になるかどうか検討を続けています。

胃がん症例の無再発生存期間。BEX2高発現症例(BEX2high)は再発率が高い。

図:胃がん症例の無再発生存期間。
BEX2高発現症例
(BEX2high)は再発率が高い。

発表論文

A. Yasumoto, et al, BEX2 is poor prognostic factor and required for cancer stemness in gastric cancer, Biochemical and Biophysical Research Communications. (2023).
https://doi.org/10.1016/j.bbrc.2023.03.025