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胆管がんの腫瘍増大に重要な新規遺伝子を発見(がん幹細胞研究部)


図: 本研究で示唆されたFAXCによる胆管癌進展の制御機構。発表論文より一部改変。

図: 本研究で示唆されたFAXCによる胆管癌進展の制御機構。発表論文より一部改変。

「がんは遺伝子の病気」と言われますが、多くの遺伝子が機能不明なまま残されています。私たちは本研究で、機能不明であったFAXC遺伝子 (Failed Axon Connections Homolog gene)が胆管がんで重要な機能を担うことを発見しました。FAXCが細胞内のどこでなにと協働するか調べた結果、FAXCはミトコンドリア膜上で、がん悪性化因子であるANXA2 (Annexin A2)およびSRCキナーゼと相互作用し、ANXA2の機能を制御するチロシンリン酸化を増強することがわかりました。またFAXCはヒト胆管癌検体では間質でなく腫瘍に発現し、FAXCの発現が低酸素応答や、上皮間葉転換 (EMT)とも関連することがわかりました。このことから、FAXCの発現は胆管癌細胞の生存を有利にするものと考えられました。
本研究では主にFAXCの細胞内での挙動を明らかにしましたが、どのように腫瘍増大に寄与するか、全貌は明らかになっていません。FAXCの役割をさらに調べることで、がん細胞の性質を制御する新たな経路や、治療標的が見つかることが期待されます。

発表論文

Fujimori H., et al., FAXC interacts with ANXA2 and SRC in mitochondria and promotes tumorigenesis in cholangiocarcinoma. Cancer Science 2024.
https://doi.org/10.1111/cas.16140