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家族発症肺癌の臨床および遺伝学的特徴(発がん制御研究部)


がんは家族で発症することのある疾患ですが、肺癌も家族集積性を示します。それが、遺伝が原因なのか、同じ環境で長く生活することが原因なのかは不明です。この研究では肺癌発症に関連する環境因子や遺伝的背景を探索するために、ゲノムを調べることにしました。当センターで親子きょうだいで肺癌に罹患した患者さんたち17人の全身の細胞と肺癌細胞のエクソーム解析 を実施しました。全身の細胞のエクソームでは、患者の1組でDHODH遺伝子(デヒドロオロト酸脱水素酵素)の非同義変異、p.A347T(347番目のアミノ酸であるアラニンのスレオニンへの変化)が同定されました。並行して癌部に特徴的な変異のパターンを統計解析した結果、各家系に固有の遺伝子変異の発生パターンが認められました。本研究から、体質と環境因子のどのような組み合わせが発癌に至るのかの糸口が、ゲノム解析からつかめる可能性が判明しました(下図)。本研究はまだまだその端緒についただけですが、今後さらに発展することで、最終的には肺癌発症予防の薬剤の開発や、さらには早期診断による効果的な治療戦略立案ができるようになることが期待されます。

※ゲノム解析の一種で、タンパク質をコードしている部分のみを選択的に解読する技術。

図1 今回の研究の説明

図1 今回の研究の説明

参考文献

Miyabe S., et al., Clinical and genomic features of non-small cell lung cancer occurring in families. Thoracic Cancer 2023
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/1759-7714.14825