造血器腫瘍パネル検査について
検査について
造血器腫瘍パネル検査(以下パネル検査)は、主に白血病や悪性リンパ腫など血液系の細胞の悪性腫瘍と診断されたか、強く疑われる患者さんについて、鑑別診断や治療法の探索、治療方針の決定のために実施される検査です。骨髄や末梢血など悪性腫瘍を含む検体と、頬の粘膜など悪性腫瘍ではない検体とを採取、300以上の遺伝子を解析します。その結果から正確な診断や有効性が期待できる薬剤の候補、今後の治療方針のための情報を探索します。この探索は、患者さんの同意のもとで検査結果と診療情報を国立がん研究センター内に設置されたがんゲノム情報管理センターに送り、そこで分析することで実施されます。送られた情報は、患者さんの同意の範囲内において、同センターで今後のがん医療のための研究に二次利用されます。宮城県立がんセンターでは遺伝子パネル検査(及びその後の専門家会議)を保険診療として実施できる「がんゲノム医療連携病院」として指定されています。
パネル検査を受診する際には、がんゲノム医療コーディネーター(以下この文章ではコーディネーターとします。)などの専門家による面談を実施のうえ、検査に同意していただく手続きを実施します。
パネル検査を受診する際には、がんゲノム医療コーディネーター(以下この文章ではコーディネーターとします。)などの専門家による面談を実施のうえ、検査に同意していただく手続きを実施します。
パネル検査の種類と検体
現在保険診療では1種類の造血器腫瘍遺伝子パネル検査(ヘムサイト)が承認されています。検体は正常部、腫瘍部からそれぞれ1つずつ必要です。
- 正常部 口腔粘膜または爪のどちらか
- 腫瘍部 末梢血(4ml)、骨髄液(2ml)、病理切片(クロット含む)のどれか
対象となる患者さん
パネル検査の対象はおおまかには白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、原因不明の血球減少など、血液系の悪性腫瘍が疑われる患者さんです。しかし、保険適応の内容や時期は疾患ごとに異なります。詳細は担当医にお尋ねください。本検査は血液系腫瘍で1疾患ごとに1回検査が可能です。
検査に必要な主な同意事項
パネル検査を受検いただくには以下の点についての説明を聞き、同意いただく必要があります。
- パネル検査の目的
- パネル検査の利点と限界(わかること、わからないことなど)
- パネル検査の方法
- パネル検査結果の流れと結果の解釈について
- がんに関する遺伝の情報(遺伝性腫瘍)が判明する可能性(知りたくない権利など)
- 造血器腫瘍パネル検査の結果の説明(結果説明の時期の見通しなど)
- がん遺伝子パネル検査に用いたデータ等の取扱い(がんゲノム情報管理センターへの情報提供とその後の二次利用について)
検査の流れと、がんゲノム情報管理センター
検体は検査会社(国内)に送られ、専用の機器で分析されます。遺伝子の変化そのものの分析結果は検査会社から当院に返却されます。併せて同じ結果が検査会社ないしは当院から「がんゲノム情報管理センター」に送られ、有効薬剤の探索が実施されます。探索結果が届いたら、専門家による会議(エキスパートパネル)での検討を実施します。その会議での検討結果を受けて、当院の担当医から結果の説明をいたします。「がんゲノム情報管理センター」では送られた患者検体の解析情報や診療情報を活用して、わが国のがん診療の質の向上や新薬開発などに二次利用されます。
令和7年4月1日より当院でも専門家会議(エキスパートパネル)が開催できるようになりました
宮城県では専門家会議(エキスパートパネル)を開催できるのは、東北地区のがんゲノム医療中核拠点病院である東北大学病院とがんゲノム医療連携病院の当院の2施設だけが厚生労働省の指定を受けております。当院で行うメリットは時間をかけて丁寧に検討したり、専門家会議の日程を柔軟に設定したりできることです。今まで通り、症例により東北大学病院の専門家会議で検討することもできます。
遺伝カウンセリングとの関係
遺伝子パネル検査では、血縁の方で共有されている、がんが起こりやすい遺伝的体質に関連する遺伝子の変化が見つかることがあります。こうした場合に備えて、遺伝カウンセリング2を受診いただくことが可能です(所要時間約1時間、費用3,300円)。遺伝カウンセリングは、パネル検査についてのコーディネーターとの面談の前でも後でも可能です。コーディネーター面談後に遺伝カウンセリングの受診を希望される場合は、コーディネーターから担当医へ患者さんのご意向を伝達しますので、別途受診予約をお願いします。
2遺伝的疾患について患者本人や家族の求めに応じ、疾患についての遺伝学的情報をわかりやすく提供し、助言をすることで、患者本人の医療の選択(検査を受けるか否かなど)を支援する医療行為をさします。
2遺伝的疾患について患者本人や家族の求めに応じ、疾患についての遺伝学的情報をわかりやすく提供し、助言をすることで、患者本人の医療の選択(検査を受けるか否かなど)を支援する医療行為をさします。
予想されるスケジュール
パネル検査受検後1週間から10日程度で検査会社から中間報告があります。この際に利用できる薬剤などに資する検査結果があった場合にはエキスパートパネルの代わりの持ち回り協議をしてできるだけ迅速に結果を生かせるようにします。多くの場合は一か月程度後に最終報告があります。
パネル検査受診に必要な費用
保険診療上の費用は検査本体が44万円、その後の情報解析(エキスパートパネルでの検討を含む)が12万円で、全部で56万円です。請求はまず検査本体について実施し、エキスパートパネルでの検討後に、結果をお返しする際に残りを請求させていただきます。この場合、自己負担分は3割負担の場合16万8千円となります。なお、高額療養の「限度額適用認定証」をご用意いただくことで負担を軽くすることが可能です。なお検体不良でなどで十分な検討が出来なかった場合でも検査料はお支払いいただきます。
問い合わせ先
宮城県立がんセンター がん相談支援センター
(月曜日から金曜日8:30~17:00:祝日、年末年始を除く)
〒981-1293 宮城県名取市愛島塩手字野田山47-1
TEL 022-384-3151(内線152)
(月曜日から金曜日8:30~17:00:祝日、年末年始を除く)
〒981-1293 宮城県名取市愛島塩手字野田山47-1
TEL 022-384-3151(内線152)
関連情報リンク
- がんゲノム情報管理センター(国立がん研究センター内)
https://www.ncc.go.jp/jp/c_cat/index_kan_jya.html - 「がん遺伝子パネル検査」を検討する方にご理解いただきたいこと(PDF)
発行:がんゲノム情報管理センター
https://www.ncc.go.jp/jp/c_cat/c-cat_pamphlet_A_outline.pdf
- 東北大学 個別化医療センター
http://www.p-mec.hosp.tohoku.ac.jp/