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がん遺伝子パネル検査について



検査について

がん遺伝子パネル検査(以下パネル検査)は、主に悪性腫瘍を手術で切除し、その後の補助療法をすでに実施したか、現在受けている患者さんについて、さらなる有効薬剤の探索のために実施する検査です。手術などで摘出し、医療機関に保管されているがん組織や血液からゲノムDNAを抽出し、検査会社でがんに関連する100種類以上の遺伝子の変化(専門用語では変異と呼びます)を分析して、その結果から有効性が期待できる薬剤の候補を探索します。この薬剤候補の探索は、患者さんの同意のもとで検査結果と診療情報を国立がん研究センター内に設置されたがんゲノム情報管理センターに送り、そこで分析することで実施されます。送られた情報は、患者さんの同意の範囲内において、同センターで今後のがん医療のための研究に二次利用されます。宮城県立がんセンターでは遺伝子パネル検査を保険診療として実施できる「がんゲノム医療連携病院」として指定されています。
パネル検査を受診する際には、がんゲノム医療コーディネーター(以下この文章ではコーディネーターとします。)などの専門家による面談を実施のうえ、検査に同意していただく手続きを実施します。

パネル検査の概要

遺伝子検査の流れ


パネル検査の種類

現在保険診療では3種類のがん遺伝子パネル検査があります。
  • FoundationOne CDx (F1CDx):過去の手術検体などのみ(採血なし)
  • NCCオンコパネル:過去の手術検体と採血(5 ml程度)
  • FoundationOne Liquid CDx (F1リキッド):採血のみ17 ml
これらのどれを選択すべきかは患者さんごとの状況によって異なります。リキッドバイオプシーパネル検査であるF1リキッドについては①F1CDxかNCCオンコパネルのどちらも医学的な理由から実施できない、②過去にこれら2つの検査で結果が得られず、エキスパートパネルでの検討がなされなかった方のみが対象になります。

対象となる患者さん

固形がんのうち、標準治療1がないか、あっても終了している(ないしは終了見込み)のに局所進行ないし転移がある患者さんのうち、本検査によって追加化学療法を選択できると担当医が判断した方です。詳細は担当医にお尋ねください。
他院で治療を受けられている患者さんの場合、原則として今かかっている病院の担当医にこれまでの治療の経過や保存されている腫瘍組織等の情報を提供いただければ当院で受診可能です。
以下の患者さんは保険診療でのパネル検査は実施できません。
  1. 血液系の悪性腫瘍(白血病、多発性骨髄腫など)
  2. その他、医師が不適当と判断した方
なお、過去の検体が不良で検査の実施が困難な場合には、①現在安全に採取可能な腫瘍が身体に残っている場合は、別途生検(病気の診断のためにがん組織片を採取すること)を実施する、②血液のみで検査できるF1リキッドをご提案することがあります。
※検査受診可能と事前に判断された標本でも、品質不良で結果が得られない場合もあります。
1ある状態の一般的な患者さんに行われる、現在利用できる最良の治療である科学的根拠が示されており、推奨される治療をいいます。

パネル検査を受ける手続き

パネル検査の対象になる可能性がある場合、担当医から当院がんゲノム医療センターに標本の状態の確認依頼が入ります。他院に標本がある場合、検体の保存状態などの確認をしたうえで、検査発注の段階で検査用の標本の送付を依頼します。検査可能な標本が存在する場合、コーディネーターによる面談を受けていただきます。面談では以下の内容をご説明いたします。
  • パネル検査の目的
  • パネル検査の利点と限界(わかること、わからないことなど)
  • パネル検査の方法
  • パネル検査結果の流れと結果の解釈について
  • がんに関する遺伝の情報(遺伝性腫瘍)が判明する可能性(知りたくない権利など)
  • がん選伝子パネル検査の結果の説明(結果説明の時期の見通しなど)
  • がん遺伝子パネル検査に用いたテータ等の取扱い(がんゲノム情報管理センターへの情報提供とその後の二次利用について)
コーディネーターとの面談で、検査の内容をご理解いただき、同意書作成の仮手続きをいたします。コーディネーター面談後に、担当医による患者さんの検査受診についての同意の最終確認と、検査によって血液採取(NCCオンコパネルでは5ml程度、F1リキッドでは17ml程度)いたします。

検査の流れと、がんゲノム情報管理センター

検体は検査会社(国内ないしは米国)に送られ、専用の機器で分析されます。遺伝子の変化そのものの分析結果は検査会社から当院に返却されます。併せて同じ結果が検査会社ないしは当院から「がんゲノム情報管理センター」に送られ、有効薬剤の探索が実施されます。さらに探索結果は東北地区のがんゲノム医療中核拠点病院である東北大学病院に送られ、そこで専門家による会議(エキスパートパネル)での検討を実施します。東北大学病院でのエキスパートパネルには当院の担当医も出席します。その会議での検討結果を受けて、当院の担当医から結果の説明をいたします。「がんゲノム情報管理センター」では送られた患者検体の解析情報や診療情報を活用して、わが国のがん診療の質の向上や新薬開発などに二次利用されます。

遺伝カウンセリングとの関係

遺伝子パネル検査では、血縁の方で共有されている、がんが起こりやすい遺伝的体質に関連する遺伝子の変化が見つかることがあります。こうした場合に備えて、遺伝カウンセリング2を受診いただくことが可能です(所要時間約1時間、費用3,000円)。遺伝カウンセリングは、パネル検査についてのコーディネーターとの面談の前でも後でも可能です。コーディネーター面談後に遺伝カウンセリングの受診を希望される場合は、コーディネーターから担当医へ患者さんのご意向を伝達しますので、別途受診予約をお願いします。
2遺伝的疾患について患者本人や家族の求めに応じ、疾患についての遺伝学的情報をわかりやすく提供し、助言をすることで、患者本人の医療の選択(検査を受けるか否かなど)を支援する医療行為をさします。

予想されるスケジュール

検査提出から結果のご説明まで1~2か月かかると予想されています。

パネル検査受診に必要な費用

保険診療上の費用は検査本体が44万円、その後の情報解析(エキスパートパネルでの検討を含む)が12万円で、全部で56万円です。請求はまず検査本体について実施し、エキスパートパネルでの検討後に、結果をお返しする際に残りを請求させていただきます。この場合、自己負担分は3割負担の場合16万8千円となります。なお、高額療養の「限度額適用認定証」をご用意いただくことで負担を軽くすることが可能です。検体不良で検査に失敗し、エキスパートパネルでの検討が出来なかった場合でも最初の検査料44万円(自己負担分3割の場合13万2千円)はお支払いいただきます。

有効薬剤が発見される確率

現時点では東北大学病院でのエキスパートパネルでの検討ののち、有効な薬剤が見つかる可能性は約1割程度とされています。仮に見つかっても国内での販売が未承認の薬剤、がんへの適応が認められていない薬剤、参加できない臨床試験・治験3のみで使用されている薬剤などの場合、治療法として選択できないことがあります。当院では取り扱いができない薬剤の場合、日本国内の他医療機関へご紹介を提案することもあります。
3新薬や既存薬剤の新たな効果の確認のため、患者さんに実際に投与する試験のことです。

問い合わせ先

宮城県立がんセンター がん相談支援センター
(月曜日から金曜日8:30~17:00:祝日、年末年始を除く)
〒981-1293 宮城県名取市愛島塩手字野田山47-1
TEL 022-384-3151(内線152)

関連情報リンク

がんゲノム情報管理センター(国立がん研究センター内)
https://www.ncc.go.jp/jp/c_cat/index_kan_jya.html
「がん遺伝子パネル検査」を検討する方にご理解いただきたいこと(PDF)
発行:がんゲノム情報管理センター
https://www.ncc.go.jp/jp/c_cat/c-cat_pamphlet_A_outline.pdf
東北大学 個別化医療センター
http://www.p-mec.hosp.tohoku.ac.jp/