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Tissue Bank センター


研究員構成

佐藤 郁郎(さとう いくろう) センター長(兼務)
植木 美幸(うえき みゆき) 上席主任臨床検査技師
名村 真弓(なむら まゆみ) 主任臨床検査技師

研究紹介

病理部では組織診断・細胞診断・剖検診断などの業務を日常的に行っていますが、これ以外にも時代の要請から新たな組みを開始しています。

1.高度先進医療の一環として

高度先進医療とは保険未収載の先進的な医療対象ですが、どこの病院でも実施可能なわけではなく、病院ごとに高次病院機能評価を受けたうえで認定される医療と定められています。
宮城県立がんセンターでは積極的に高度先進医療の推進に取り組んでいます。

分子標的治療薬が数多く開発されてきて、病理部に対しては診断のみならず、治療の適否の決定にあたることが要請されています。
分子標的治療薬は従来の化学療法薬に比べ高額の費用を要するため、EGFR遺伝子蛋白やc-kit遺伝子蛋白が発現しているか、どの程度発現しているかを投薬に先駆けて知っておく必要があるからです。
さらに、蛋白レベル(免疫組織化学)ではなく、DNAレベル(遺伝子変異解析、FISH等)で確認することも時代の要請になっています。
たとえば、乳がんに関しては、

a.HER2過剰発現は乳癌の予後不良因子である(約1/4の乳癌症例で発現)
b.ハーセプチン(抗HER2抗体)により、一定の効果が示されている
c.治療抵抗性の原因として、細胞外ドメインを欠くp95HER2が報告された(HER2陽性例の約1/4の症例で発現)
d.2009年、HER2に対する分子標的治療薬として、lapatinib (TK阻害剤)が認可された

などの背景があります。
今後、増殖因子受容体の切断産物であるp95HER2陽性例に対してはラパチニブ、陰性例に対してハーセプチンを投薬するというテーラーメイド医療が考えられるところですが、病理部ではこれらを感度よく検出するための研究開発を行っています。

高度先進医療に関する説明画像

2.ティッシュバンクにおける研究用試料の収集と処理

当院はがん専門の病院であり、研究所が併設されているという特長があります。
そして、臨床サイドの視点を効率的に研究に反映させ、研究成果を臨床に速やかにフィードバックするための基礎になるのがティッシュバンクです。

研究用試料を収集する役割は多くの病院で病理部が担っているのですが、単に収集し冷暗所保存するだけでは標本の劣化が進んでしまうため、当院では劣化を防ぐための処理を進めています。
現在までにティッシュバンクへの登録数は延べ1000件を越し、これらを基に遺伝子や蛋白等の解析が行われ、その結果はリアルタイムに患者さんの治療のために還元されているのです。