グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



ホーム >  研究所 >  研究活動紹介 >  発がん制御研究部 >  研究テーマ紹介 (一般の方向け)

研究テーマ紹介 (一般の方向け)


研究活動の概要

ヒトの体は細胞からできています。この細胞は元はたった一つの受精卵から細胞分裂という過程を経て増えてきたものです。細胞分裂の際に、お父さん、お母さんから受け継いだゲノム(デオキシリボ核酸=DNAに保存されている生命の設計図)が正確に複製され、一つ一つの細胞に受け継がれています。ゲノムは複数の染色体に分かれていますが、細胞が分裂する際に染色体もそれぞれ複製され、2つの細胞に分離する際に平等に分裂します。がんは、体の一部の細胞でゲノムに書かれている遺伝情報が書き換わったり、改ざんされて発症する病気です。胃粘膜の細胞でDNAが変化してがんになると胃がん、肝臓の細胞でDNAが変化すると肝臓がんになるということです。

ゲノムは30億ものDNAの連なりでできていますが、1つ変化したくらいではがんにはなりません。ゲノムには身体の部品となる様々なタンパク質の設計図である「遺伝子」が2万種類以上存在します。複数の遺伝子にがんを引き起こす変異が発生することで、正常な細胞ががん細胞になります。

私たちの研究室ではがんで発生するゲノムの異常を突き止め、皆様のがん診療に貢献する研究を進めています。特に次世代シークエンサーを用いて、がん発症の原因となるゲノム変異の網羅的検出技術によって患者さんのがんの特性を解明する研究を進めています。さらに、細胞分裂時に正しく染色体が分かれていく過程の異常が発がんに貢献することから、この分子機構の研究も進めています。

研究テーマ/内容

がんゲノム医療の支援のための研究開発
次世代シークエンサーによるがんのゲノム診断技術の進歩によって、がんの原因となっている特定の遺伝子変異を検出して、それに対する適切な抗がん剤で治療すると非常によく治療効果が得られる症例が出現してきています。また、2018年に本庶佑先生がノーベル賞を受賞された免疫チェックポイント療法も、がんのゲノム異常が非常に多い症例では特に有効であることもわかってきました。保険収載され、日常的にがん遺伝子の変異情報が得られる時代となったことから、当研究室では以下の取り組みを実施します。


1)リキッドバイオプシー(がん組織でなく血液でのがんゲノム診断)の研究開発

2)遺伝子パネル検査結果の分析や解釈のための知識や経験を持つ生命情報科学技術の開発

3)遺伝子パネル検査結果のさらなる活用のためのデータベース整備と新規分析技術の開発

がん個別化医療の模式図

がんは遺伝子の異常によっておこるのですが、
ぴったり合った抗がん剤を使うと副作用を抑えながら効果的な治療ができるようになります。

目指すもの

保険診療で実施されているがんゲノム解析で特効薬が見つかる患者さんは2022年現在、多くて2割程度です。残りの患者さんには現在でもゲノム解析の恩恵があるとは言いにくい状況です。日常的にがん遺伝子の変異情報がえられているなか、これを臨床に有効活用することが当研究室で目指していることです。以下、具体的に紹介します。

リキッドバイオプシー検査の確立はがんゲノム検査を受けた患者さん一人一人についてオーダーメイドの腫瘍マーカーとして活用できます。血液検査でがんの進展などがより精密に検知できるようになることで、患者さんへの負担の軽減や遠隔地から画像診断を受けるために来院する手間などが省けるようになります。また、最新のデータベースを遅滞なく分析する技術の確立によって日進月歩の化学療法の進歩をすぐに患者さんの治療に応用できるようになります。