研究テーマ (専門家向け)
研究紹介
疫学は、集団における疾病の分布とその決定因子に関して研究を行うとともに、疾病による有害事象に対する予防手段を確立し評価するための科学です。
がんについて具体的に述べれば、
1. 地域のがんの罹患、死亡の頻度、分布、動向を明らかにすること
2. がんの発生や予後に影響を与える要因(危険因子、予防因子など)を解明すること
3. がん検診の精度や有効性を評価すること
4. がん対策の効果を評価すること
があげられます。
当部では、これらにかかわる研究を宮城県のがん登録データ、当センターで実施している質問紙調査、他施設との共同で行っているコホート研究のデータ等を利用して行っています。
また、当部では、これまで宮城県地域がん登録事業(公益財団法人宮城県対がん協会が受託)について、がん登録室長を兼務し、指導的な役割を果たしてきました。平成31年4月からは、宮城県知事の指定を受け、当部に宮城県がん登録室が設置されており、全国がん登録に関する業務を担っています。
院内がん登録についても、院内がん登録室の室長を兼務するとともに、宮城県がん診療連携協議会、東北がんネットワークの活動を通し、宮城県内のがん診療連携拠点病院や東北地方のがん医療を担っている病院と協力して、院内がん登録のデータの質の向上、データの活用、人材の育成を推進しています。
当部は、地域がん登録事業と院内がん登録の双方において、指導的な役割を果たすとともに、技術的支援を行い、がん登録情報の利用を推進し、宮城県および日本におけるがん疫学研究、がん対策の推進に貢献することを目指しています。
関連部署・関係組織
・宮城県がん登録室
・院内がん登録室
・宮城県がん診療連携協議会がん登録部会
・東北がんネットワークがん登録専門委員会
・日本がん登録協議会
がんについて具体的に述べれば、
1. 地域のがんの罹患、死亡の頻度、分布、動向を明らかにすること
2. がんの発生や予後に影響を与える要因(危険因子、予防因子など)を解明すること
3. がん検診の精度や有効性を評価すること
4. がん対策の効果を評価すること
があげられます。
当部では、これらにかかわる研究を宮城県のがん登録データ、当センターで実施している質問紙調査、他施設との共同で行っているコホート研究のデータ等を利用して行っています。
また、当部では、これまで宮城県地域がん登録事業(公益財団法人宮城県対がん協会が受託)について、がん登録室長を兼務し、指導的な役割を果たしてきました。平成31年4月からは、宮城県知事の指定を受け、当部に宮城県がん登録室が設置されており、全国がん登録に関する業務を担っています。
院内がん登録についても、院内がん登録室の室長を兼務するとともに、宮城県がん診療連携協議会、東北がんネットワークの活動を通し、宮城県内のがん診療連携拠点病院や東北地方のがん医療を担っている病院と協力して、院内がん登録のデータの質の向上、データの活用、人材の育成を推進しています。
当部は、地域がん登録事業と院内がん登録の双方において、指導的な役割を果たすとともに、技術的支援を行い、がん登録情報の利用を推進し、宮城県および日本におけるがん疫学研究、がん対策の推進に貢献することを目指しています。
関連部署・関係組織
・宮城県がん登録室
・院内がん登録室
・宮城県がん診療連携協議会がん登録部会
・東北がんネットワークがん登録専門委員会
・日本がん登録協議会
現在の研究課題
1.がん罹患率・死亡率の動向と将来予測の検討
宮城県や全国の地域がん登録のデータなどを利用してがんの罹患率や死亡率の動向に関して詳細な検討を行った上でその背景にある要因を明らかにしています。
例えば、近年顕著な増加を示している前立腺がんについては宮城県における罹患率の推移をage-period-cohort modelにより検討し、時代効果に加えて世代効果の存在を示しました。肺がんについては、全国における組織型別の推移をjoinpoint analysisにより検討し、男性における扁平上皮癌の減少ならびに腺癌の増加の程度をAPC (annual percent change)を算出して明らかにしました。
また、今後、がんの将来予測についても取り組む予定です。
例えば、近年顕著な増加を示している前立腺がんについては宮城県における罹患率の推移をage-period-cohort modelにより検討し、時代効果に加えて世代効果の存在を示しました。肺がんについては、全国における組織型別の推移をjoinpoint analysisにより検討し、男性における扁平上皮癌の減少ならびに腺癌の増加の程度をAPC (annual percent change)を算出して明らかにしました。
また、今後、がんの将来予測についても取り組む予定です。
2.がんのリスクファクターに関する分析疫学的検討
当センターの初回入院者を対象として行っている質問紙調査のデータベースに基づき症例対照研究の手法を用いてがんのリスクファクターに関する各種検討を行っています。
例えば、トリプルネガティブ乳がんの危険因子について明らかにしました。
例えば、トリプルネガティブ乳がんの危険因子について明らかにしました。
3.がん患者の予後を規定する要因の検討
上記の質問紙調査のデータベースと当センターの院内がん登録データのレコードリンケージを実施し、がん患者の予後にかかわる要因を検討しています。
例えば、女性の未婚者における肺がんの予後の低下や、肥満者において乳がん患者の死亡リスクが上昇傾向にあることなどを明らかにしました。
例えば、女性の未婚者における肺がんの予後の低下や、肥満者において乳がん患者の死亡リスクが上昇傾向にあることなどを明らかにしました。
4.がん統計の更なる活用に関する検討
令和3年度から宮城県内の市町村を対象としたがん登録情報活用支援事業(モデル事業)を開始しました。モデル事業の実施に当たっては、宮城県がん登録室の協力を得て実施しています。令和7年度の時点で、県内35市町村のうち3市5町と委託契約を締結し、市町村別の集計結果を提供するとともに、2市1町では、がん登録情報を利用したがん検診の精度管理の支援を行っています。
第4期宮城県がん対策推進計画(令和6年3月)の策定作業において、部長の金村ががん対策推進協議会ワーキング部会委員として参画し、がん登録データの集計結果の提供を行いました。計画では、モデル事業が評価されており、今後、宮城県の協力とご支援をいただきながら、県内全市町村での実施を目指しています。
第4期宮城県がん対策推進計画(令和6年3月)の策定作業において、部長の金村ががん対策推進協議会ワーキング部会委員として参画し、がん登録データの集計結果の提供を行いました。計画では、モデル事業が評価されており、今後、宮城県の協力とご支援をいただきながら、県内全市町村での実施を目指しています。
5.がん検診の精度管理及び有効性評価に関する検討
全国がん登録が開始され、がん検診の精度管理のためにがん登録情報の活用が期待されています。宮城県では、がんに関する知識の啓発から、事後管理まで一貫した検診体系で行っており、「宮城方式」と称されています。令和3年度から宮城県内の市町村を対象としたがん登録情報活用支援事業(モデル事業)を開始しましたが、私たちは、「宮城方式」の枠組みを活用し、がん登録情報を利用したがん検診の精度管理の仕組みづくり(「新・宮城方式」「新・宮城モデル」)に取り組んでいます。令和7年度の時点で、2市1町において、がん登録情報を利用したがん検診の精度管理の支援を行っています。
また、令和4年12月からは、部長の金村が、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の革新的がん医療実用化研究事業である「乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較試験(J-START)」に参画し、大規模データの管理と統計解析に協力しています。
また、令和4年12月からは、部長の金村が、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の革新的がん医療実用化研究事業である「乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較試験(J-START)」に参画し、大規模データの管理と統計解析に協力しています。
6.がん登録の実務者育成に関する検討
当部では、これまで、宮城県がん登録事業のみならず、院内がん登録についても積極的に関わり、宮城県・東北地方において、その推進を図ってきました。がん登録を担う体制について長らく懸念の声がありましたが、当方において平成27年に行った調査でも、がん登録の実務継続性に課題があることが判明しています。当部では、この結果を報告し、雇用形態の改善などに取り組む必要があることを訴えるとともに、県内外の施設と協力し、その解決に取り組んでいます。