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総長挨拶


総長の写真

2023年4月から宮城県立がんセンターの総長となりました山田秀和と申します。当センターは宮城県ばかりではなく東北地方のがん患者さんに最先端の治療を届け、多方面からがん患者さんをサポートすることを使命とする病院です。今年で開院30周年を迎え、私で11代目の総長となります。この歴史あるがんセンターの総長として、前述した東北唯一のがん専門病院である当センターの使命を最大限実現して行くことが私の役割と考えています。どうぞよろしくお願いいたします。

さて、当センターでは手術や化学療法、放射線治療など通常のがん診療を高いレベルで行っているのは言うまでもありませんが、最近力を入れているのは手術支援ロボット(ダヴィンチ)や腹腔鏡を利用した「低侵襲外科治療」です。2019年4月より低侵襲外科センターを院内に立ち上げ手術支援ロボットを導入し、泌尿器科(前立腺・膀胱がん)から手術を開始しています。現在では胃がんや大腸がん、そして肺がん、婦人科がんにまでその範囲を拡大しています。また「がんゲノム医療」にも注力しています。ゲノム医療はがん細胞の遺伝子情報を調べ、それに応じて個々のがんにあった治療を選択する究極の個別化医療と考えられます。当センターでは2018年3月には拠点病院である東北大と協力してゲノム医療を行うがんゲノム医療連携病院に選ばれ、2019年9月にがんゲノム医療センターを立ち上げています。これまで多数の遺伝子パネル検査を実施し、その結果得られた知見から従来では考えられなかった長期生存をもたらしているケースも見られます。不幸にしてがんが再発し標準治療が終了した患者さんにとって今後の治療を探す有力な選択肢の1つになるかと思います。また、当センターでは呼吸器内科や頭頸部内科、腫瘍内科を中心として、様々な新薬の治験や臨床試験を行っており各県から広く患者が集まってきています。是非当院のホームページでご確認ください。また、当センターのがん専門病院としての大きな任務は、先端治療を行っていくことと同時に、がん患者さんを肉体的・精神的に支えていくことだと思います。当センターでは県内でも有数の緩和ケアの病棟とスタッフを有しており、その質の高さはどこにも引けを取りません。さらに相談支援部門では県内でトップの相談件数を受け、がん治療への支持療法(アピアランスケアを含む)を充実させるなど、高いレベルでがん患者さんへのサポート体制を敷いています。

研究所では、世界的な研究成果も毎年発信され、そのレベルの高さは国内のがんセンターでは有数のものと思います。同時に若い研究者の育成を常に行っており、多くの人材を国内外に排出しています。前述したがんゲノム医療は研究所と病院が一体となって行っており、基礎的な知見が絶えず臨床にフィードバックされています。また、令和元年に宮城県のがん登録事業が当センターに移管され、宮城県のがん登録を一手に行い、そこから得られた情報を宮城県の自治体に提供する全国でも類を見ない取り組みを開始しています。当センターの研究所は何より臨床現場と直結しており、宮城県のがん医療を基礎医学の面から支える無くてはならない存在と思っています。

さて、ご承知の通り当センターの今後の在り方が宮城県を中心に検討されているなか(昨年も書きましたが)、高齢の患者さんが急速に増加する近未来を見据えた当センターのあるべき姿が見えてきたような気がします。言うまでも無く我々の使命は「患者さんのがんを治す」ということに尽きると思います。そして当センターのスタッフに求められているのは、がん治療の「プロフェッショナル」として、患者さんを「より良く」治すことだと考えます。それはただ単に決まりきった治療を行うだけではなく、肉体的・精神的あるいは社会的にもサポートを行いながら患者さんと共にがんと闘っていくことだと思います。これらの大きなミッションを達成するために必要なこと、成すべきことが当センターの未来を決めるキーワードであり、向かうべき姿であると考えています。