グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



ホーム >  研究所 >  研究トピックス >  研究トピックス一覧 >  腎細胞癌の増殖を制御する遺伝子を発見 (がん幹細胞研究部)

腎細胞癌の増殖を制御する遺伝子を発見 (がん幹細胞研究部)


図:本研究で示唆されたFAXCによる腎細胞癌の増殖メカニズム

image

論文紹介

当研究部では以前、全くの機能未知だったFAXC (Failed Axon Connections Homolog gene)遺伝子が、胆管癌の増大に寄与することを発見しました。FAXCは解明されていないことが多く、他の癌種における機能は不明でした。そこで、腎癌(淡明細胞型腎細胞癌)におけるFAXCの役割を調べたところ、胆管癌とは逆に、FAXCの機能を抑えることで癌細胞が増殖しやすくなることが分かりました。さらに、FAXCの機能を抑えた癌細胞でどのような分子の機能が強化されているか網羅的に調べたところ、c-METという分子が活性化されていることがわかりました。
c-METは、細胞外からの刺激を受け、「細胞を増やせ!」という信号を出す重要な分子です。よってFAXCが抑えられてc-METが活性化されると、癌細胞はどんどん増えてしまいます。そこで、腎癌細胞で人為的にFAXCの量を増やし機能を増強したところ、c-METの活性化が抑えられ、増殖を抑えられることが分かりました。
また、実際の患者さんの腎臓組織を調べてみると、非腫瘍部よりも、腫瘍部でのFAXCの量が少ないことが分かりました。これは、FAXCが抑制されると腎癌が増殖しやすくなるといった、今回の実験結果と一致しました。
本研究では、FAXCは腎癌において、癌細胞を増やすc-METの働きを制御する重要な遺伝子であることを発見しました。今後、FAXCがどのような機構でc-METを制御するのか詳細な機構を明らかにすることで、今後の腎癌の治療に役立つことが期待されます。

Masato Konno and Haruna Fujimori et al. “FAXC depletion contributes to tumor progression via the c-MET pathway in renal cell carcinoma” Biochemical and Biophysical Research Communications. 2025. https://doi.org/10.1016/j.bbrc.2025.152388.