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Q&A


以下に患者さんの疑問に答えるQ&A形式で卵子の保存に関する留意点、問題点をまとめてみました。相談を受ける際の参考にしていただければと思います。

がん治療が卵子に与える影響はどのようなものですか?

そもそも卵巣は抗がん剤や放射線に感受性が高く、治療により卵子が死滅してしまう可能性があることが知られています。

1.抗がん剤による影響(卵巣がん治療ガイドライン2010年版より改変)

多くの抗がん剤により卵子数の減少と成熟障害をきたすことが証明されています。卵子に与える影響は薬剤の種類によって異なり、抗がん剤が一様に卵巣に悪影響を与えるわけではありませんが、特にシクロホスファミドは卵巣毒性が強いことで知られています。下に薬剤別の卵巣毒性を記載いたしました。また抗がん剤の種類以外にも治療開始時の患者さんの年齢,使用薬剤,蓄積投与量,投与期間が卵巣機能に影響を及ぼす因子として重要です。

表6-3 抗がん剤の卵巣毒性
リスク発生頻度 抗がん剤
高度 シクロホスファミド
イホスファミド
ダガルバジン
中等度 シスプラチン
カルボプラチン
ドキソルビシン(アドリアマイシン)
エトポシド
軽度または発生しない アクチノマイシンD
ビンクリスチン
メトトレキサート
フルオロウラシル
ブレオマイシン
データなし パクリタキセル
ドセタキセル
ゲムシタビン
イリノテカン

2.放射線が卵巣に与える影響

放射線も卵巣機能に重大な影響を与えることが知られています。この影響は抗がん剤同様年齢が高くなれば影響を受けやすくなり、成人では4~6Gy、小児では10~20Gyで卵巣機能が低下するとされ、10歳で18.5Gy、20歳で16.5Gy、30歳で14.3Gy以上の放射線照射で97.5%に不可逆性の卵巣機能不全が起こると言われています。この放射線の線量は日常生活で浴びることはありませんが、たとえば子宮頸がんの治療で照射される放射線は約50Gyとなっています。

排卵誘発・採卵等とがん治療との兼ね合いはどのようになりますか?

通常排卵誘発~採卵には約1か月かかります。またFSHやhMGなど強い排卵誘発剤を使用する場合には卵巣過剰刺激症候群を予防するため、検査などでさらに1か月かかります。従って排卵誘発法にもよりますが悪性腫瘍の治療開始まで最低でも1~2か月以上の期間が必要となります。悪性腫瘍の治療開始までに余裕が取れないケースでは残念ながら適応とはなりません。

現在病気が緩解状態にありますが、適応となるでしょうか?

現在悪性腫瘍が緩解状態にあり、もし今後再発した時に備えて卵子を保存したいといったケースが最もよい適応となるかもしれません。時間的な余裕があり、十分な排卵誘発ができることになります。

排卵誘発を受ければ必ず卵子は保存できますか?その個数は?

必ずしも卵子が採れて、保存できるわけではありません。排卵誘発に反応せず、全く卵子が採れないケースもあります。また排卵誘発の方法によっても採れる卵子の数や体外受精などの成功率が変わってきます。
また当院で卵子の凍結保存の適応があると判断しスズキ記念病院に紹介したケースでも、スズキ記念病院での診察結果によっては凍結保存が出来ないケースもあります。

排卵誘発、採卵、卵子の保存にかかる費用はどのぐらいですか?

排卵誘発方法、採れた卵子の個数によって変わるため個人差があります。初回の採卵および採卵から1年間の保存費用は概ね20~50万円程度となりますが、詳しくはスズキ記念病院で説明を受けることとなります。また、残念ながら卵子が採れない場合でも排卵誘発や採卵などにかかる費用はご負担いただくことになります。

スズキ記念病院について知りたいのですが?

スズキ記念病医院は不妊症治療専門病院として昭和61年に宮城県岩沼市に設立されています。設立者で理事長である鈴木雅洲先生は、東北大の教授として我が国で初めて体外受精による妊娠・出産に成功しています。また院長の星 和彦 先生は東北大学の体外受精成功の際に中心的な役割を担当されており、その後福島県立医科大学において、日本で最初の顕微授精による妊娠・出産を成功させたことでも知られています。スズキ記念病院はこのお二人の先生方以外にも豊富なスタッフと充実した設備を備えた日本でも有数の不妊治療の専門病院です。最近では不妊治療ばかりでなく、年間1000件を超える分娩を行い、内視鏡手術を中心として婦人科手術の分野でも高い実績をあげています。

スズキ記念病院
〒989-2481 宮城県岩沼市里の杜3丁目5-5
TEL:0223-23-3111 FAX:0223-23-3123
ホームページ:http://www.suzukihp.or.jp/