医療事故の公表について
令和5年7月に当院で発生しました医療事故について、ご報告いたします。
1.事故の概要
- 主治医は抗がん剤であるヒドロキシカルバミド(商品名ハイドレア® カプセル500mg)を1日1カプセル(500mg)内服と処方するところを、電子カルテに1日5カプセル内服と誤って入力、処方してしまいました。
- 患者様はその後、薬剤の副作用の白血球減少により敗血症性ショック(感染源不明)を発症し、当センターに入院するに至りました。
- 敗血症性ショックの治療中、腸管への血液の流れが悪くなり、腸管の壊死が起こる非閉塞性腸管虚血という稀で重篤な合併症を発症しました。これにより全身状態が更に増悪し、死亡されました。
2.事故の検証
以上のような経過の医療事故ですが、単純な処方ミスだけでなく、様々な要因を経て、薬剤が患者様の手に渡ってしまいました。
まず、処方した薬剤が通常投与量を超えた場合、処方の入力時に警告や投与量の確認を求める表示が普通は出るのですが、今回の薬剤を含めて添付文書に「適宜増減」との記載がある薬剤では、当時の当センターの電子カルテシステムでは、このような表示が出ない設定になっておりました。
次に、院外処方箋の場合でも、抗がん薬など一部の薬剤については、当センター内の薬剤師が処方内容の確認作業を行っていましたが、医師への疑義照会は行われませんでした。
さらに、患者様が処方箋を持ち込んだ院外調剤薬局からも医師への疑義照会は行われませんでした。
これらの複合した要因によって、予定量を上回る薬剤投与となってしまったことが、敗血症発症の原因になったと考えております。
まず、処方した薬剤が通常投与量を超えた場合、処方の入力時に警告や投与量の確認を求める表示が普通は出るのですが、今回の薬剤を含めて添付文書に「適宜増減」との記載がある薬剤では、当時の当センターの電子カルテシステムでは、このような表示が出ない設定になっておりました。
次に、院外処方箋の場合でも、抗がん薬など一部の薬剤については、当センター内の薬剤師が処方内容の確認作業を行っていましたが、医師への疑義照会は行われませんでした。
さらに、患者様が処方箋を持ち込んだ院外調剤薬局からも医師への疑義照会は行われませんでした。
これらの複合した要因によって、予定量を上回る薬剤投与となってしまったことが、敗血症発症の原因になったと考えております。
3.再発防止策
- カルテに通常用量上限値を超えた抗がん薬の処方入力が行われた際、添付文書に「適宜増減」の記載がある場合においても警告画面が表示され、内容を再確認してチェックボックスにチェックを入れてから確定を行わないと処方できないようなシステムに変更しました。
- 抗がん薬の処方が含まれているすべての院外処方箋の確認作業をがん薬剤師外来(がん専門薬剤師で構成)の担当に移行し、医師カルテ記載と照合して確認を行うようにしました。
- 抗がん薬を処方する際、患者様にお渡しする文書「主な副作用と注意すること」(抗がん薬処方毎に作成される)が自動的に電子カルテより出力されますが、当該文書末尾に、問い合わせ先として当院代表電話番号を記載し、患者様が問い合わせを行いやすいようにしました。
- がん薬剤師外来(がん専門薬剤師で構成)では、患者様の理解度等を確認しつつ、抗がん薬に関する指導を行っており、医師に対して同外来の積極的利用を勧めていくことにしました。
- 担当医師の所属科は、主治医制を取っていましたが、相互補助のため、チーム制による診療体制としました。
病院として、二度とこのような事故が起こらないよう、徹底した再発防止対策を講じてまいります。