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リキッドバイオプシー検査について



検査について

リキッドバイオプシー検査は、血液を採取してその中に染み出てきているがん細胞由来の遺伝子の配列を調べて、有効薬剤を探索したり、より正確な診断をしたりするために実施する検査です。血液など、体の液体部分を採取し、患者さんの体の中にある病変から染み出てきた遺伝子(DNA)を検査します。現状ではがんの患者さんに対して、そのがんの特性をよりよく診断するという目的で実施するものです。自由診療で実施される検査ですが、すでに全国で数百例を超える規模で実施されています。
リキッドバイオプシーを受診する際には、がんゲノム医療コーディネーター(以下この文章ではコーディネーターとします。)などの専門家による面談を実施のうえ、検査に同意していただく手続きを実施します。当院で実施するリキッドバイオプシー検査はガーダントヘルスケア社(米国)が提供するGuardant 360という検査です。

リキッドバイオプシー検査の医学的な意義

2019年度から保険診療で「がん遺伝子パネル検査」が実施されるようになりましたが、ある程度の大きさの新しい手術標本または生検※1検体が必要です。リキッドバイオプシ―は、改めて生検等がしにくい患者さんのために実施される検査です。採血のみで検査できるので、迅速・簡便でより身体への負担をかけずに実施できます。
※1病気の診断のためにがん組織片を採取すること

対象となる患者さん

固形がんのうち、進行がんで保険診療のがん遺伝子パネル検査の実施が困難な患者さんのうち、外来受診が可能な方が対象です(以下図参照)。早期がんの患者さんは対象外です。また血液のがん(白血病)なども対象ではありません。自由診療ですので、当院での検査希望の受付はがん相談支援センターです。他院の患者さんは保険診療でのがん遺伝子パネル検査の適応の有無の判断をするために当院のセカンドオピニオン外来を受診していただきます。なお、他院の患者さん過去の検体が不良でがん遺伝子パネル検査の実施が困難な場合でも、現在安全に採取可能な腫瘍が身体に残っている場合は、別途生検(病気の診断のためにがん組織片を採取すること)を前提に、保険診療でのがん遺伝子パネル検査をご提案することがあります。

対象となる患者さん

リキッドバイオプシー検査を受ける手続き

リキッドバイオプシー検査の手続きは次の図のような流れです。

リキッドバイオプシー検査を受ける手続き

  • がん相談支援センター:自由診療ですので、がん相談支援センターを通じて予約手続きをお願いします。
  • セカンドオピニオン外来:他院の患者さんの場合、保険診療でのがん遺伝子パネル検査が実施可能かを検討します。
  • 検査説明:面談ではリキッドバイオプシーの目的、利点と限界(わかること、わからないことなど)、がんに関する遺伝の情報(遺伝性腫瘍)が判明する可能性などを説明します。コーディネーターとの面談で、検査の内容をご理解いただき、同意書作成の手続きをいたします。
  • 採血:基本は当日ですが、検査説明が金曜日の午後の場合は翌週の月曜日から木曜日のどこかで実施します。採血した日に料金をお支払いいただきます。
  • 検査会社によるリキッドバイオプシー検査:検査は海外で実施されます。次世代シークエンサーで73遺伝子の配列を解析し、人工知能も用いて癌由来の遺伝子の変化を検出します。
  • 結果の分析:得られた結果の解釈を、当院のがんゲノム医療センターの専門家が分析します。
  • 医師からの結果説明:分析結果を踏まえ、今後の治療方針についてご説明します。この説明を受けるまでが検査ということになります。
  • 治療:治療により利用可能な薬剤などが見つかった場合は治療に進みます。それらの治療が受診できる他の病院をご紹介する場合もあります。

保険診療でのがん遺伝子パネル検査との関連での注意点

リキッドバイオプシー検査は自由診療で実施されますが、その結果をそのまま保険診療に導入できるとは限りません。たとえば、保険診療での治療適応のある遺伝子変異が検出された場合、治療には保険診療で必要とされる検査の追加実施が必要となることがあります。同様に、該当する治験や臨床試験がある場合、治験毎に必要とされる検査方法は異なっており、参加には追加の検査が必要となることがあります。詳細は主治医とご相談ください。

遺伝カウンセリングとの関係

リキッドバイオプシー検査では、血縁の方で共有されている、がんが起こりやすい遺伝的体質に関連する遺伝子の変化を示唆する所見が見つかることがあります。こうした場合に備えて、遺伝カウンセリング※2を受診いただくことが可能です(所要時間約1時間、費用3,300円~)。遺伝カウンセリングは、リキッドバイオプシー検査についてのコーディネーターとの面談の前でも後でも可能です。コーディネーター面談後に遺伝カウンセリングの受診を希望される場合は、コーディネーターから主治医へ患者さんのご意向を伝達しますので、別途受診予約をお願いします。
※2 遺伝的疾患について患者本人や家族の求めに応じ、疾患についての遺伝学的情報をわかりやすく提供し、助言をすることで、患者本人の医療の選択(検査を受けるか否かなど)を支援する医療行為をさします。

予想されるスケジュール

検査提出から結果のご説明まで1~2か月かかると予想されています。

検査受診に必要な費用

検査本体が41万9100円、その後の検査結果説明費用が1万1000円で、全部で43万100円です。他院の患者さんの場合はこれにセカンドオピニオン外来受診の分の1万1000円が加わります。請求は採血時に検査本体について実施し、結果をお返しする際に残りを請求させていただきます。一括払い(現金ないしはクレジットカード)のみです。なお、自由診療ですので、高額療養の「限度額適用認定証」などはご利用できません。がんから染み出る遺伝子の量が不足していて検査に失敗しても最初の検査料41万9100円はお返しいたしません。

有効薬剤が発見される確率

現時点では東北大学病院でのエキスパートパネルでの検討ののち、有効な薬剤が見つかる、ないしは参加できるかもしれない臨床試験・治験※3などが見つかる可能性は約1~2割程度とされています。仮に見つかっても国内での販売が未承認の薬剤、がんへの適応が認められていない薬剤、参加できない臨床試験・治験のみで使用されている薬剤などの場合、治療法として選択できないことがあります。当院では取り扱いができない薬剤の場合、日本国内の他医療機関へご紹介を提案することもあります。
※3 新薬や既存薬剤の新たな効果の確認のため、患者さんに実際に投与する試験のことです。

問い合わせ先

宮城県立がんセンター がん相談支援センター(月曜日から金曜日8:30~17:00:祝日、年末年始を除く)
〒981-1293 宮城県名取市愛島塩手字野田山47-1
TEL 022-384-3151(内線152)