がん患者さんに対する新型コロナウイルスワクチンについて
抗がん薬治療中のがん患者さんへの新型コロナウイルスワクチン接種について
2021年2月22日 第1版
宮城県立がんセンター
宮城県立がんセンター
新型コロナウイルスに対するワクチンの接種が2021年4月頃から順次開始される予定です。この文書では、みなさまが新型コロナウイルスワクチンについて不安に感じることがないよう、現時点(2021年2月22日現在)でわかっている情報をお伝えします。
- がん治療中でも、新型コロナウイルスのワクチンを打ってもよいの?
→先にワクチン接種が開始した海外のデータでは、治療中のがん患者さんもワクチンを接種してよいとされています。当院でも、みなさんが新型コロナウイルスに感染することを予防するのがよいと考えておりますので、ワクチンを接種しても問題ないと考えます。接種する時期については、受けている治療によって異なりますので、主治医へご相談ください。 - どこでワクチンが打てるの?
→お住まいの自治体で接種していただくことになります。
インフルエンザなどほかの予防接種と同様、がんセンターでは患者さん向けの予防接種は行っておりません。接種時期など、お住まいの自治体のお知らせをご確認ください。 - 自分は優先接種の対象になるの?
→厚生労働省で決めた接種順位では、①医療従事者、②高齢者(昭和32年4月1日以前に生まれた方)、③高齢者以外で基礎疾患を有する方や高齢者施設等で従事されている方、④それ以外の方となっています。このうち、③の「基礎疾患」の中にがん治療中の方も含まれます。また、ステロイドを使用している方や、肺や心臓の機能が落ちている方も対象となりますので、この文書の最後をご確認ください。 - ワクチンはどのようなスケジュールで打つのですか?
→接種が予定されているファイザー製のワクチンは、1回目の接種のあと3週間あけて2回目の接種が行われる予定です。この間隔を過ぎてしまうと、ワクチンの効き目が弱くなってしまう可能性があります。がんセンターへの受診の予定と、ワクチン接種がかぶらないように、主治医などとも相談しながら調節するとよいでしょう。 - ワクチンを打った副作用(副反応)が心配です。
→接種が予定されているファイザー製のワクチンでは、一部の方で接種後の発熱、倦怠感(だるさ)、接種した場所の痛みや腫れなどが報告されています。2回目の接種のあとに熱が出やすいということもわかっていますので、抗がん剤治療や入院の直前にワクチンを接種することは避けた方がよいでしょう。
アナフィラキシーという重いアレルギー症状は、100万人あたり10人程度とされています。ワクチンを接種したあとは、しばらく接種会場にとどまり、体調の変化がないことを確認してから帰宅することになります。他の薬などで意識を失う、冷や汗が出て血圧が下がるなど激しいアレルギー症状を起こしたことがある方は、あらかじめ接種会場の医師にご相談ください。
★最も大切なことは、ワクチンを打った後も手洗い、うがい、マスクの着用、ソーシャルディスタンスの確保など、これまで通りの新型コロナウイルス感染症対策を取り続けることです。
付表 新型コロナウイルスワクチン接種で「基礎疾患」とされるもの
- 以下の病気や状態の方で、通院/入院している方
- 慢性の呼吸器の病気
- 慢性の心臓病(高血圧を含む。)
- 慢性の腎臓病
- 慢性の肝臓病(ただし、脂肪肝や慢性肝炎を除く。)
- インスリンや飲み薬で治療中の糖尿病又は他の病気を併発している糖尿病
- 血液の病気(ただし、鉄欠乏性貧血を除く。)
- 免疫の機能が低下する病気(治療中の悪性腫瘍を含む。)
- ステロイドなど、免疫の機能を低下させる治療を受けている
- 免疫の異常に伴う神経疾患や神経筋疾患
- 神経疾患や神経筋疾患が原因で身体の機能が衰えた状態(呼吸障害等)
- 染色体異常
- 重症心身障害(重度の肢体不自由と重度の知的障害とが重複した状態)
- 睡眠時無呼吸症候群
- 基準(BMI 30以上)を満たす肥満の方
(厚生労働省 新型コロナウイルスワクチン接種についてのお知らせ より)