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平成25年度宮城県立がんセンターセミナー抄録

1.高齢がん患者の諸症状に対する漢方医学の可能性
−認知障害、譫妄、誤嚥性肺炎など−

第234回 平成25年7月5日(金)

演者:岩ア 鋼 先生
(独立行政法人国立病院機構 西多賀病院 臨床研修部長・漢方医学センター長 東北大学臨床教授)
演題:高齢がん患者の諸症状に対する漢方医学の可能性 −認知障害、譫妄、誤嚥性肺炎など−

 高齢者の癌治療では、入院譫妄、認知症症状の増悪、誤嚥性肺炎、転倒骨折など高齢者特有の病態が出現し、本来の癌治療の妨げとなることが多い。今回はそのような病態に対する漢方治療のエビデンスを紹介し、漢方医学が癌治療の一助となる可能性を考えたい。

2.ここ5年間の東北大学病院胃腸外科での癌研究への取組み
− 5-FU系抗癌剤、癌転移、癌免疫の研究を中心に −

第235回 平成25年7月12日(金)

演者:三浦 康(当センター・消化器外科 医療部長)
演題:ここ5年間の東北大学病院胃腸外科での癌研究への取組み
− 5-FU系抗癌剤、癌転移、癌免疫の研究を中心に −

 東北大学病院胃腸外科にて癌研究に取組んできた。 1) 胃癌・大腸癌における選択的pre-mRNAスプライシング、 2) 5-FU系抗がん剤、アポトーシスおよび IAPファミリー、 3) in vivo 大腸癌同所移植転移モデル研究、 4) 大腸癌における癌免疫研究、 5) 臨床報告 などについて、過去5年間の成果を中心に、癌の基礎研究から臨床応用と世界における現況について概説する。

3.酸化ストレスの新しい制御因子:活性イオウ分子

第236回 平成25年9月6日(金)

演者:赤池 孝章 先生(東北大学大学院医学系研究科 環境保健医学分野 教授)
演題:酸化ストレスの新しい制御因子:活性イオウ分子

 酸化ストレスは、活性酸素のバランスの異常によりもたらされる病態です。酸化ストレスは、世界人類を悩ませる国民病である生活習慣病のみならず、がん、神経変性疾患などの治療困難な疾病に共通した要因であり、これを根本的に制御する因子の同定は研究者の長い間の目標でした。今回、私共は活性酸素の主要な制御因子として、システインポリスルフィドをはじめとする活性イオウ分子の生体内生成を見出しました。本講演では、生物に普遍的に構築されている酸化ストレス制御と適応応答のメカニズムについて(Nature Chem. Biol., 2007 & 2012)、この度同定しました新規制御因子のユニークな代謝制御機構と生理活性に焦点をあて議論します。

4.大腸がん領域におけるEGFR経路阻害を考える

第237回 平成25年9月13日(金)

演者:市川 度 先生
(防衛医科大学校 防衛医科大学校病院 腫瘍化学療法部 准教授 副部長)
演題:大腸がん領域におけるEGFR経路阻害を考える

大腸がんに対するCetuximab、Panitumumab投与時のK-RAS遺伝子exon 2 (codon12/13)変異がnegative predictive factorであることがあきらかとなり、大腸がん領域でも個別化医療の幕開けを迎えた。予測精度を高める試みとして、体細胞系のPI3KCA遺伝子変異、PTEN発現、BRAF遺伝子変異、EGFR遺伝子増幅、EGFRに対するリガンド発現が、生殖細胞系ではEGFR intron 1 CA repeat、EGFやFCγRのSNPが検討されている。最近では、K-RAS遺伝子exon 3、4の変異に加え、N-RAS遺伝子変異をも検索したうえでの「RAS遺伝子野生型」という概念が導入されはじめている。一方、抗EGFRモノクローナル抗体に対する獲得耐性の報告も相次いでいる。HER2遺伝子増幅、抗体のbinding siteの遺伝子変異、codon12/13 以外の稀なK-RAS遺伝子変異などである。
大腸がん領域では、K-RAS遺伝子変異を鏑矢として、tumor biologyのより深い理解へと進みつつある。乳がんにおけるホルモン受容体とホルモン剤、HER2とtrastuzumab、肺がんにおけるEGFR遺伝子変異と抗EGFRチロシンキナーゼ阻害薬など、治療応答性がbiology解明へつながったプロセスと酷似してきた。大腸がん領域におけるEGFR経路阻害というはじめの一歩が、今後大腸がんのbiologyのより深い理解につながることが期待される。

5.術中迅速がんイメージングを目指した小分子蛍光プローブの精密開発

第238回 平成25年10月11日(金)

演者:浦野 泰照 先生 (東京大学 大学院医学系研究科 生体物理医学専攻 医用生体工学講座 生体情報学分野 教授)
演題:術中迅速がんイメージングを目指した小分子蛍光プローブの精密開発

 蛍光ライブイメージング技法は、近年の生物・医学研究には無くてはならない手法となっている。筆者らは、本観測の実現に必須となる蛍光プローブの論理的かつ汎用性の高いデザイン法を世界に先駆けて確立し、これに基づく様々な細胞応答可視化蛍光プローブの開発に成功してきた。また最近、がん細胞を正常細胞と区別して検出可能な有機小分子蛍光プローブの開発に成功し、これらのプローブの活用により、生きている動物個体内の1 mm以下の微小がん部位を、プローブ適用後1分程度で明確に検出することにも成功した。

6.癌の発生と進展におけるコネキシンの異なる役割

第239回 平成25年10月25日(金)

演者:大森 泰文 先生
(秋田大学大学院医学系研究科 腫瘍制御医学系 分子病態学・腫瘍病態学講座 教授)
演題:癌の発生と進展におけるコネキシンの異なる役割

 コネキシンはギャップ結合の唯一の構成タンパクであるが、近年、ギャップ結合の形成に関与しないヘミチャネルとしての機能や、オルガネラにおける機能など、コネキシンの新しい機能が発見されている。以前より、ギャップ結合は発癌のプロモーションを阻害することで発癌を抑制することが知られており、私たちも細胞や各種マウスの系を用いて、ギャップ結合による増殖制御機構を明らかにしてきた。一方、発生した腫瘍において、コネキシンはしばしば細胞膜から細胞質に移行し、この異常局在がギャップ結合の機能低下、ひいては増殖亢進を引き起こすものと考えられてきた。私たちはこのようなコネキシンの異常局在が単なるloss of functionではなく、腫瘍の進展に何らかの積極的な役割を果たしているものと考え、詳細に検討したところ、ストレスの有無にかかわらず小胞体ストレス応答経路を賦活化し、癌幹細胞の自己複製を促進することを見出した。セミナーにおいてはコネキシンのもつ新旧の機能を紹介しながら、議論を深めたい。

7.エピゲノムから見たがん細胞の性格と治療標的としての期待

第240回 平成25年11月8日(金)

演者:近藤 豊 先生
(愛知県がんセンター研究所 分子腫瘍学部 室長 兼 ゲノム制御研究部 部長)
演題:エピゲノムから見たがん細胞の性格と治療標的としての期待

 がん細胞ではゲノム・エピゲノム異常が蓄積している。エピゲノム異常は分化・増殖の制御異常を誘導し発がんに寄与するだけでなく、その可塑性を介して動的に細胞 形質を変化させ、悪性のがんとしての形質獲得に寄与している。本セミナーでは我々が目指し、展開しているがんエピゲノム研究について紹介したい。

8.ミトコンドリア品質管理のメカニズムとがん
〜p53の新しいがん抑制機能について〜

第241回 平成25年11月22日(金)

演者:荒川 博文 先生
(独立行政法人国立がん研究センター研究所 分子標的研究グループ 腫瘍生物学分野 分野長)
演題:ミトコンドリア品質管理のメカニズムとがん
〜p53の新しいがん抑制機能について〜

 我々が9年前に発見した新規p53標的遺伝子の機能は、「ミトコンドリアの品質を管理する」だった。この遺伝子及びタンパク質を、その機能にちなんでMieapMitochondria-eating protein:ミトコンドリアを食べるタンパク質)と命名した。Mieapは、不良なミトコンドリア内へ、リソソームタ ンパク質を集積して、酸化修飾蛋白質を分解除去して修復するか(MALM)、あるいは、液胞様構造物を誘導して、不良なミトンドリアそのものを分解除去して排除するか(MIV)のいずれかの機能によって、ミトコンドリアの品質管理に重要な役割を果たしている。がん細胞においては、p53の変異や、Mieap遺伝子のプロモーターメチル化によって、この機能が失われ、不良なミトコンドリアが蓄積している。がん細胞に蓄積した不良なミトコンドリアから産生される活性酸素種は、がんの増殖・浸潤・転移に重要な役割を果たしている可能性がある。

9.ピロリ菌がんタンパク質CagAの構造と機能〜

第242回 平成26年1月10日(金)

演者:畠山 昌則 先生
(東京大学 大学院医学系研究科 病因・病理学専攻 微生物学講座 微生物学教室 教授)
演題:ピロリ菌がんタンパク質CagAの構造と機能

 胃がんは全がん死亡の10%を占める悪性腫瘍であり、その大多数はヘリコバクター・ピロリ菌、中でもcagA遺伝子陽性ピロリ菌の慢性感染を基盤に発症します。cagA遺伝子産物であるCagAタンパク質はピロリ菌の体内で産生された後、菌が保有するミクロの注射針様装置により胃上皮細胞内に直接注入されます。胃細胞内に侵入したCagAはGabに代表されるほ乳動物細胞足場タンパク質の機能を模倣することにより、細胞のがん化を促す様々なシグナル異常を引き起こすと考えられます。本講演では、CagAが引き起こす細胞内シグナル撹乱の本態とその基盤となるCagAの分子構造に関する最新の知見を紹介したいと考えています。

11.ここまで来た癌免疫 −Costumulation分子制御による新規の癌免疫療法−

第244回 平成26年2月21日(金)

演者:星野 友昭 先生
(久留米大学医学部 内科学講座 呼吸器・神経・膠原病内科部門(第一内科))
演題:ここまで来た癌免疫 −Costumulation分子制御による新規の癌免疫療法−

 これまでの癌免疫療法はLAK療法、IL-2の大量投与、NCIのS. Rosenbergらによる癌ペプチドやサイトカイン癌免疫療法がよく知られている。しかしながらその効果は、一部のメラノーマ患者にしか効果がない。つまり、non-responderが多数であることが問題である。また、メラノーマ患者以外への癌ペプチドやサイトカインを含む癌免疫療法はこれまで数々の臨床治験が行われたが良い結果が得られていなかった。最近、Costumulation分子、PD-1,PD-L1,CTLA-4抑制による新規の癌免疫療法がメラノーマや肺がんの治療効果があることが報告された。
 本講演では久留米大学の癌ペプチドワクチンとPD-1抗体,PD-L1抗体,CTLA-4抑制薬による最近の知見を中心に解説したい。

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